実践!クライミング語 ~基本編 Chap.1~

「クライマーの会話に交じれない」というあなた、
このページで生きたクライミング語を覚えよう。
さあ、リピート・アフター・ミー!

イラストレーション=橋尾歌子 
構成・文=ロクスノ太郎

*詳しい解説はCLIBMING-net クライミング用語を参照
*ここで紹介する用語は一部、使用できない地域があります
*使いすぎると周囲から白い目で見られます。ご注意ください

*この記事は『CLIMBINGjoy No.2』掲載記事をもとにしています

登場人物

*登場人物は架空です。

マルオ ガンバ!① ガンバ!
スネ太 (——ボテッ……)
マルオ なに、そんなのも持てないの?
スネ太 うあ~、おれってパーミング②苦手なんだよな~。誰だよ、このスローパー③付けたヤツ。持てないよ!
マルオ いや、持ち方の問題じゃなくて、その前のムーブじゃない?
やっぱ、あそこはキョン④でしょう。足ブラ⑤なんかしてるからヨレる⑥んだよ。
スネ太 だってガバ⑦じゃん! 正対⑧のままひとつ上のフットホールド⑨に足を上げて、ハイステップ⑩から一気にデッド⑪したほうが早いよ。ここで時間をかけてると、次のピンチ⑫ヌメって⑬くるし……。
マルオ これがガバ? どう見たって、カチ⑭でしょう。あ〜いやだいやだ、カチラー⑮は。

 

用語解説

 ① ガンバ 
クライミングの声援といえば、これ。日常で、不用意にこの言葉を発してしまい、恥ずかしい思いをしたクライマーは多い。

 ② パーミング 
手のデカい人が得意なことが多い持ち方。苦手な人はバスケットボールを片手で振り回して練習すればいい?

 ③ スローパー 
丸くて外傾したホールドのこと。肩の筋力などを必要とするため、マッチョな人が得意なことが多い。

 ④ キョン 
片足のひざを内側にひねる足技。ひざの関節に高い負荷がかかり、靭帯などを傷めることもある。デンジャラスな技であることを認識して繰り出そう。

 ⑤ 足ブラ 
足がフットホールドから外れ、文字どおり、足がぶらーんとなること。「この状態に強いクライマーは足が細い」と筆者は思い込んでいる。

 ⑥ ヨレる 
力尽きてくること。ジムなどで、ライバルに挑まれ、どうしても勝負しなければならないときは「もう、今日はヨレちゃったからな〜」と言い、負けたときのために保険をかけておくこと。応用として「今日は○○を傷めてるからな〜」も使おう。

 ⑦ ガバ 
ガバッと持てるホールド。上級者の「あれはガバ」という発言は信用しないようにしよう。だいたい、ガバじゃない。

 ⑧ 正対 
壁にまっすぐ向かい、がに股で登ること。反意語はフリ。こればかりだと下手なように思われがちだが、実はムーブの基本。クライミングは正対に始まり、正対に終わる(と思う)。

 ⑨ フットホールド 
足を乗せるホールド。「スタンス」という言葉も使われているが、英語圏で使うと「オマエ、ナニイッテルンダ?」と聞かれ、しどろもどろになるだろう。

 ⑩ハイステップ 
高いところに足を上げること。股関節が硬かったり、腹に肉がついていたりすると苦しい。

 ⑪ デッド(〜ポイント) 
上体を引きつけた瞬間に手を動かすムーブ。保持力の限界に近ければ、おのずと使用することになる。集中力で勝負しよう。

 ⑫ ピンチ(〜グリップ) 
つまむこと。「ピ〜ンチグリ〜ップ!」と言いながら、他人の体を全力でつかむのはやめよう(『孤高の人』1巻/小学館より)。

 ⑬ ヌメる 
手汗によって、ホールドを持つ手にヌルヌル感が生じること。強烈なヌメリ手の持ち主が登ると、湿気によってホールドが黒ずむことがある。落ちたときは、間髪入れずに「ヌメった〜!」と叫べば、周囲から一応は同情を得られる。必須用語だ!

 ⑭ カチ 
角張った細かめのホールドを指す。日本の岩場では、多彩なホールドがあると思いきや、結局、このタイプのホールドが核心になることが多い。

 ⑮ カチラー 
「カチしか強くないヤツ」という意味が含まれる場合が多いが、国内の多くの岩場はカチラーの独壇場だったりする。人工壁では大して強くないのに、御岳などでは急に立場が逆転するので、日頃からあまり馬鹿にしないように。

>>Chapter2へ