ワールドカップ印西2014 優勝はアダム・オンドラとキム・ジャイン

決勝最後の選手として登場した安間佐千を見守る観客たち

2012年に続き、2回目となるワールドカップ印西大会が、10月25.26日松山下公園総合体育館で開催された。シリーズ最終戦直前の大会ということもあり、年間ランキングを争っているトップ選手のほとんど全員が参加した。ただ、逆にその争いから遠い選手の参加はすくなく、総数は女子28名男子31名だった。

初日。ルートは予選から難しく、女子は第1ルートは完登1名のみ、第2ルートが7名であった。男子は第1ルートで4名のみが完登、第2ルートにいたっては完登者ゼロで、グレードは5.14aあるのではないかと思われた。

2日目、セミファイナル。やはりルートは厳しく男女とも完登なし。男子にいたっては最高到達点をマークした安間佐千でさえ、あと10手を残した。

開催国枠、シード枠を最大限に活用し、じつに16名が参加した日本人男子。ファイナルには安間以外にも2人くらい出場するのでは? と期待されたがそれはならなかった。是永敬一郎、中野稔、新田龍海の3名はあと1、2手で、決勝進出であった。

同じく大量14名が参加した日本女子であったが、ファイナルに進めたのは、小林由佳と野口啓代のみ。尾上彩と田嶋あいかが、あと1、2手に泣いた。

決勝は女子から始まった。一番手のマヤ・ビドマーが最上部で”カチラー”の真髄を発揮。以後なかなかこの高度を越える選手が出ないなか、キム・ジャイン登場。スペインでの6年越しの世界選手権優勝で、緊張の糸が切れてしまったかのように、このところの韓国(6位)、中国(10位)では不本意な成績であった。しかしこの印西大会のファイナルで本来のキムが帰って来た。ブレない体幹、ミスのないムーブ、流れるようなリズム。魅せられるまま、気がつくと終了点にあのさわやかな笑顔があった。

最後にミナ・マルコビッチが登場し、最終ホールドタッチ。出来すぎのエンディングであった。

男子ファイナル。まず現在ランキング1位のヤコブ・シューベルトが、好成績をマーク。成長株のドメン・スコフィックが同高度。そして7番手にアダム・オンドラ登場。全身から気迫がほとばしる”鬼神”と化したアダム。これほどまでに攻撃的な登りをするクライマーがいたであろうか。ヤコブ、ドメンの到達点を越えさらに5.6手進みフォール。満足いくクライミングができたのであろう。完登していないにもかかわらず観客に大きく手を振った。

そして最後に安間が登場。近年の安間もかなり攻撃的なクライミングをするようになってきた。アダムとの違いは緩急を使い分けていることで、時として落ちるのでは……と思ってしまうような力を抜いた部分が見うけられる。やはりヤコブ、ドメンの到達点を越えるが、アダムには及ばない部分でフォール。銀メダルとなった。
(文=北山 真 写真=萩原浩司)

ワールドカップリード印西2014

◆男子リード
1   アダム・オンドラ(CZE)
2   安間佐千(JPN)
3   ドメン・スコフィック(SLO)
—-
9   是永敬一郎
10 中野 稔
11 新田龍海
12 波田悠貴
13 島谷尚季
15 杉本 怜
16 樋口純裕
17 藤井 快
20 松島暁人
22 飯田 譲
24 羽鎌田直人
26 清水裕登
27 大高伽弥
28 尾形和俊
30 野村真一郎

◆女子リード
1   キム・ジャイン(KOR)
2   ミナ・マルコビッチ(SLO)
3   マヤ・ビドマー(SLO)
4   野口啓代
8   小林由佳
—-
10 尾上 彩
11 田嶋あいか
16 水口 僚
17 義村 萌
20 三浦絵里菜
21 錦織美里
22 大田理裟
23 野中生萌
24 原田朝美
25 廣重幸紀
26 大澤咲子
27 松島由希

核心部手前のキム・ジャイン
(クリックすると大きな画像で見られます)

ただひとり、完登!
(クリックすると大きな画像で見られます)

女子表彰式
(クリックすると大きな画像で見られます)

決勝のアダム・オンドラ
(クリックすると大きな画像で見られます)

最高到達点をマーク
(クリックすると大きな画像で見られます)

男子表彰式
(クリックすると大きな画像で見られます)

女子決勝の小林由佳
(クリックすると大きな画像で見られます)

野口啓代は、あと数手でメダルに届く4位
(クリックすると大きな画面で見られます)

決勝の安間佐千
(クリックすると大きな画像で見られます)

日本チーム 全員集合
(クリックすると大きな画面で見られます)

関連リンク

同一カテゴリの最新ニュース