橋本今史、笠置山の“暗黒丸 四/五段” を第2登(2)

この理不尽なくらい悪い1手目も、この雪降る寸前の3年に1度しか訪れないであろうパリパリコンディションのおかげで、今まで捨て身だった1手が確実にコントロールしてきている実感を感じ、そしてついに1手目を止めることが出来た。指の収まりが悪く2手目を高速タッチしてフォール。

フォールしたときは悔しいというよりは、この日初めて1手目を取れた喜びと、2手目から繋げられたという大躍進的な進歩で、もうかなり満足してしまっていて、これで帰っても良い……ぐらい。それぐらい、まだ完登など想像出来ていませんでした。

しかしこの何年かに1度しか無いような抜群のコンディション。もうほとんど満足して闘争心を失いかけてる頭を理詰めで叩き起こして、指が冷えるのを我慢して待って再トライ。何回かの失敗の後、突然そのときがやってきた。

スタートを切った瞬間に行けるという感覚。初めて1手目を取れたとき、意外とアジャスト出来ることがわかっていたので、はじき出されそうになるのを耐えながら左指を1本1本結晶に食い込ませる。

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暗黒丸、核心の1手目

完全な持ち感。2手目に入れる完璧なポジション。それでも3回に1回も止まらない2手目、もはや神頼み。気がついたら止まっていた、なんて事よく聞くけどまさにそれで、いきなり2手目入ったところに瞬間移動した感覚。シビアなフックの3手目もギリギリこなしてトップアウト。


 
「こんなことがあるのか。信じられん。」
ひたすらこんなことを連呼して降りてきた気がします。

3シーズン付き合ってくれた小DK、レスト中も終始和やかにしてくれて、次の日、中津川で朝から仕事があるにも関わらず松本まで帰らなければならなかったDK(ちなみにDK、2手目数回で止めてました)。ほんと二人には感謝です。

駄文おつきあい、ありがとうございます。

橋本今史

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