ユース選手権、女子ユースBの森秋彩がただ一人の全完登で優勝(2)

ユースA

男子ユースAは田中が卓越したクライミング能力を見せつけ優勝。多くの選手が苦戦する3つのオレンジハリボテのパートは、ただ一人技巧的なニーバームーブで解決し、そのまま持ち前の持久力で終了点タッチまで迫った。田中はジュニアでも優勝タイに値する成績であるため、彼が如何に図抜けているかがわかるであろう。中島はハリボテにおそらくジャミングをきめて攻略し、堂々の準優勝。

女子ユースAは上位5選手の実力が伯仲し誰が勝ってもおかしくないという状況であったが、予選では小島が予選から両ルート最高高度で他の選手を一歩リード。決勝でも最後に登場し、安定した登りのまま優勝をさらった。競技を終えた後の自信に満ちた表情が印象的であり、小島が今後更なる飛躍をする予兆に感じられた。

ジュニア

男子ジュニアは強力な選手が多く、決勝に進出したどの選手が優勝してもおかしくない顔ぶれ。そんな中、大核心の3つのオレンジハリボテのパートを突破できたのは中上、大高、本間の3名、それぞれが違ったムーブで攻略したことに観客は楽しめただろう。そして途中咆哮も交え、最も気合が入っていたのが中上。ユースAの田中が諦めた悪いカチでも最終クリップにも成功させ、強烈なポケットホールドからゴールのスローパーへ飛びついた。ほんのわずかに身体が止まりかけたように見えた後に墜落したが、高度で他選手に大きな差をつけて優勝。この中上の熱量の高いトライは本大会の一番のハイライトだっただろう。

女子ジュニアはユース選手権での4度の優勝に加えて、あらゆる国内タイトルを手中にした経験のある田嶋を他の選手がどう追随するかに注目が集まった。この年代も層が厚く、ほぼ全ての選手が上部まで突入しリザルトが団子状態となっていたところで田嶋を迎えたが、田嶋は全く苦にもしないといった感じであっという間に最高高度に到達。流石に最後は肘が上がりかけていたが、終了点にデッドするところまで行き、終わってみればやはり圧勝。女王の貫録を見せつけた。

この大会では下の世代から上の世代の選手を脅かし凌駕するほどの実力ある選手が数多く目立った。昨今クライミングの裾野が広がり競技人口が増えていると言われているが、ユース世代のコンペティションのレベルで、まさにクライミングの爆発的な広がりや成長を目の当たりにしたといえるだろう。今後の日本のクライミングレベルが一段と上がる予感がして大いに楽しみである。

男子ジュニア

1 中上 太斗 (福岡)
2 大高 伽弥 (東京)
3 本間 大晴 (埼玉)

男子ユースA

1 田中 修太 (新潟)
2 中島 大智 (岩手)
3 川畑イサム (鹿児島)

男子ユースB

1 抜井 亮瑛 (奈良)   
2 西田 秀聖 (奈良)   
3 川又 玲瑛 (栃木)

男子ユースC

1 田中 裕也 (岐阜)
2 村下 善乙 (千葉)
3 上村 悠樹 (東京)

女子ジュニア

1 田嶋あいか(三重)
2 戸田 萌希 (山梨)
3 森脇ほの佳 (大阪)

女子ユースA

1 小島 果琳 (岐阜)
2 樋口 結花 (佐賀)
3 倉 菜々子 (愛知)

女子ユースB

1 森 秋彩 (茨城)
2 谷井 菜月 (奈良)
3 平野 夏海 (東京) 

女子ユースC

1 美谷島ももか (東京)
2 小池 はな (埼玉)
3 井土 桜花 (北海道)

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