保持力向上法(2)

力の限界に近い課題を登るには、極力足数を減らして無駄を省くことが有効だ。足を乗せ替える「踏み替え」を減らすと、無駄のない美しいムーブの流れを作れる。バタバタと踏み替えて登るよりカッコいい!

左の例では左手でホールドを取りにいくとき、右足で軸を作り、左足は右に流してバランスをとる。この状態で体を支持するにはホールドをしっかり保持しなければならず、保持力がアップする。足数が減るため、難しいセクションを素早く切り抜ける力もつく。

 

初級者が登るレベルの課題は持ち替えられるホールドが多いが、あえてクロスムーブや送りムーブでトライしよう(持ち替えを前提に設定されている課題は除く)。

たとえガバホールドであっても、両手を同じホールドに添えたり、持ち替えたりせずに登ると片手で保持することになり、保持力強化になる。また、ムーブのバリエーションを増やすことにもつながる。

 

強くなろう!
うまいクライマーは、人を感心させるが、強いクライマーは、人に感動を与える_____。

甘いとおっしゃる方も大勢いることと思いますが、私の価値観はこの言葉に集約されています。 フリークライミング(ボルダーを含む)は墜落することが前提にある遊びです。何度失敗しても、何度落ちても立ち上がり、前を向きましょう。その過程こそが、クライマーを心身ともに強くします。自らと向き合うクライミングというスポーツにおいて、いちばん大切なことは楽しむ心です。楽しむためには困難にもくじけない強い心が必要です。みなさん、強さを目指し、クライミングを楽しんでください。

 

講師=加藤 毅 写真=後藤匡人 文=小林由理亞
モデル=縄重未来 取材協力=エイペックス・クライミングジム