ホールドメーカー「コア」のスティーブ氏に聞く

クライミングホールドメーカー「コア」のスティーブ氏が今夏来日。
ホールドへのこだわりや、本国イギリスにおけるクライミングシーンについて紹介する。

ホールドの特徴
イギリスといえば、日本と同じく天気に恵まれない国である。それゆえ、コンクリート製の人工壁を使ったクライミングは古くから行なわれていたという。
しかしながら、80年代において人工壁のクライミングが盛んだったのは、むしろフランスのほう。
好天が多く、岩場にも恵まれているはずの地が先んじている状況だった。
2000年代になり、ようやくイギリスからもクライミング業界で一目置かれるブランドが登場。
そのひとつが2008年に創業した「コア」である。

同社のホールドづくりは、いかに悪天候の日でもクライミングを楽しめるか、という考えから始まった。その特徴は、外岩に重きを置いていること。
たとえばホールドのラインナップを見てみるとLimestone(石灰岩)やGranite(花崗岩)など、岩質にちなんだモデルが並ぶ。
また、Limestoneには化石の形をあしらうなど、作り手の遊び心も垣間見えるホールドたちだ。

日本の人工壁から得たもの
コアを立ち上げる前、スティーブ氏は日本に1週間ほど滞在したことがあったという。その際、野口啓代さんのプライベートジムやクライミングジム「ボルニー」を訪問。日本の人工壁には、イギリスよりも多くのホールドがついていることを知った。

「コアを始めるにあたり、もともと温めていたアイデアはありました。でも日本特有の人工壁の使い方を見て、少し路線を変更したんです」
たとえば、日本から外国の著名な岩場へ行こうと思っても、そう簡単ではない。そこで、Grit(グリットストーン)やFont(フォンテーヌブロー)など、岩場を再現した形状のホールドを作っていった。
「日本の人工壁からインスピレーションを得たことで、成功した面もあります。日本での経験は、とても役に立ちましたね」

本国におけるクライミングジムの特徴
イギリスで最近オープンするジムは、ほとんどがボルダリング専門。クライミングジムの「the climbing depot」や「the climbing academy」など、新たに2店目、3店目を出す動きが盛んだという。ジムの経営はビジネス化しており、大きな街であれば3〜4店はあるとのこと。また、かつては外岩を登るトレーニングとしての利用が多かったものの、近年ではレジャー化しているのが事実……と、状況は日本とほぼ同じのようである。
主な違いは、前述のホールド数と、ジムの規模。
「秋には、約2500m2(600坪)のジムがオープンする予定なんですよ」
数としては日本のほうが多いものの、1店あたりの面積は、イギリスのほうが大きい傾向にあるようだ。
最後に日本滞在の感想を聞くと、ここに来れてうれしい、とスティーブ氏。
「日本は、クライミングのマーケットとしても大切な存在です。コアのことをひいきにしてくれている方も多いと聞き、とてもありがたく思っています」

 

 

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