2足目に選ぶならこれ! 田中周兵が選ぶ次の一足イボルブ「アディクト」
イボルブ『アディクト』
1万2500円（税別）
サイズ＝US4～10（22.0～28.0cm相当）
*（ ）内のサイズは目安です。
クライミングを始めてしばらくジム通いを続けていると、力がつき、いろいろなムーブができるようになってくる。さらにステップアップするために次のシューズを選ぶならぜひ「うまくなるための一足」を選びたい。
クライミングジムの店長として、多くのクライマーの登りを見てきた田中周兵さんに次の一足として「アディクト」を選ぶ理由を聞いた。
田中周兵
（たなか・しゅうへい）
クライミングジム「ビックロック」名古屋店店長。コンペでも活躍し、各地の岩場で5.14を超えるルートを多数登る実力者。現在はボルダリング中心の活動で、豊田・アガルタ（五段）をはじめとする高難度課題を登る。
柔らかな革のアッパーは、履き込むうちに足によくなじむ。しかもフィット感は損なわれず、緩くなりすぎることがない
履き口のゴムが伸びて、スリッパにありがちな着脱のしづらさがない。端にバンド状に配されたゴムの効果で、繰り返し履いても、伸びきったりヨレたりしにくい
直角に近いかかとの形だが、「3Dミッドソール」効果でしっかりフィットし、スリップオンタイプが苦手とするヒールフックも、かかとの抜けがなく効果的に決まる
足裏感覚がよく、ホールドに合わせた「効かせる足置き」のトレーニングに最適。抜群のフリクションを誇る「トラックスラバー」がしっかりとフットホールドをとらえる
つま先が薄く適度な柔軟性があり、細いクラックにねじ込める
Q ２足目として選ぶシューズは、1足目と何が違うのでしょうか。
A １足目は、痛みがなくストレスを感じずに履けることがシューズ選びの第一条件だったでしょう。でも２足目を選ぶころには、シューズのサイズ感のようなものが少しわかってくるはず。本当に自分に合ったサイズを選ぶことができると思います。
Q どんなシューズがおすすめですか。
A 本格的にクライミングを続けていこうと思ったのなら、ぜひ、うまくなるためのシューズを選んでほしいです。クライミングの上達には、苦手をなくし幅広いムーブをこなせるようになることが必要。だからいろいろな用途に対応できる、クセのない形のものがいいと思います。そしてクライミングの上達に欠かせない、足裏感覚がわかりやすいフラットなソールがいい。ホールドに対してどのように置けば「効かせる」ことができるか、足裏でホールドをとらえる感覚がつかみやすいことが大切です。
Q 「アディクト」はスリッパタイプですが、履き心地はどうでしょう？
A 本革のアッパーが足になじんで、フィット感がいいのが特長です。スリップオンタイプはすぐに伸びて緩くなるというイメージがありますが、「アディクト」は、なじみはしても、緩くなりすぎることはありません。長さはほとんど変わりませんね。ですから、あまりきつすぎるサイズを選ぶ必要はありません。
見た目はストレートでクセのない形ですが、履いてみると意外なほどサポート感が強い。ゆったりしているのに、土踏まずのところを下から押し上げるような感覚で、足をキュッとホールドしてくれます。
Q １足目にもいいように思いますが。
A もちろん初心者にとってもいいシューズですが、スリップオンタイプはレースやベルクロのように締め付け感を調整することができない分、サイズ選びが重要になります。シューズに慣れていない人が痛くないようなサイズを買うと、足になじんできたころには緩くなってしまう。程よくタイトなサイズを選んで足になじませるには、やはり少しサイズ感がわかるようになった人のほうが向いています。
またスリップオンタイプは、もっとソールの薄い、足の力が強い上級者向けのモデルが多いのですが、「アディクト」は程よい硬さで、シューズが立ち込みをサポートするので、これから足の力をつけていきたい人のトレーニングに適しています。
Q まだあまりテクニックがない人向けのシューズということですね。
A いえ、実は上級者のジム履きとしてもピッタリなんです。上級者は特定の課題ごとに使い分ける「本気シューズ」を持っていますから、日頃のトレーニングには、こういったオールマイティで、かつ高性能なシューズが便利なんです。
あとは、外岩でクラックをやる人にもおすすめ。最近のシューズは、エッジング重視のトウに厚みのあるものが多いので、このように薄い形状のシューズは、シンクラックで活躍すると思いますよ。
イボルブ『バンディッドＳＣ』
1万3000円（税別）
甲が高く足の力が弱い初心者には、こちらのベルクロモデルがおすすめ。硬めの作りで、体重のある人向け。シューズが立ち込みをサポートする。
写真＝山本浩明 文＝小川郁代
問い合わせ先＝イボルブ・ジャパン TEL 0565-42-3505