凡例

Tr. …トップロープ
NP …ナチュラル・プロテクション(フレンズ、ナッツなどのチョック類を使用)
B …ボルト。数字が続く場合はその数。
× …致命的な事故が起きる可能性が高い危険なルート。または、再開拓が必要。
R …ランナウト。当書ではプロテクションが悪いことも含めている。
△ …岩がきたない、岩が脆いなど、なにかしらのマイナス要素。
OW …オフ・ウィドウス
SD …シットダウン・スタート
Sq. …スクイーズ・チムニー
CS …チョック・ストーン
LB …レイバック
F…フレンズ
R…ロックス
C…キャメロット

P(プロジェクト)…試登中のライン。基本的に登攀不可。図中ではPと省略されている場合が多い。
P(ピッチ)…文章中の(3P)は3ピッチのルートであることを示す。
公開プロジェクト… トライ可能な未登のライン。

※ ルート図中のボルト(×)の数は、実際と違っている場合がありますのでご注意ください。また、オンサイトの場合はつねに多めのヌンチャク(プロテクション全般)を持つようにしてください。

 

クライミング上の注意点

人工壁の増加によって、クライミングはよりポピュラーなものになり、そのイメージも大きく変わりました。しかし、人工壁で行なわれているクライミングがそのまま自然の岩場で通用するわけではありません。最も大きな問題がプロテクションで、岩に打たれたボルト等は気象状況により日々劣化していきます。また、人気ルートにおいては多くのダメージがボルト(周辺の岩にも)に対して与えられています。特にそれが核心部が1箇所のルートであれば、1本のボルトに対して、まるで実験のように数限りない墜落が日々行なわれているのです。
見るからにヤバそうなボルト(古い、錆びている、ネジがゆるんでいる、変型している、位置が適切でない、そもそもの強度が低い)があるのなら、そんなルートには取り付かないことです。また、取り付いてみてそれがわかったら、すみやかにクライミングを中止するべきです。これはむろん人気ルートで、今すでに誰かが登り終えたルートであってもです。
本チャンでのクライミングがそうであるように、フリークライミング(むろんスポートクライミングもしかり)のルートであっても、残置プロテクションのチェックは自分で行なわなければなりませんし、それができないクライマーは自然の岩場を登るべきではありません。また、クラックなどナチュラルプロテクション(チョック類)を使用するルートの場合は、そのセットの技術を十分に身につけた後にリードするようにしてください。
初登者は、基本的に自分がそのラインを登りたいから、そこにルートを拓くのであって、他人に登ってもらうために拓いているわけではありません。雑誌等にそれを発表するのは自己の記録として、また同好のクライマーへの礼儀として行なっているのです。
他にも落石、落雷、降雪、毒蛇、蜂、熊など、人工壁ではおよそ遭遇することのないさまざまな危険が自然の岩場には待ち受けています。これらの危険から自分をまもるのは、あくまでも自分自身であることを常に忘れないでください。

 

岩場周辺での注意

多くの岩場がさまざまな理由により、使用禁止となってきました。以下にあげる事柄は、ほぼ、どの岩場においても当てはまることと思われますので、ここに一括して記載し、それぞれの岩場の注意事項ではいちいち取り上げません。自然の岩場を利用するクライマーの常識としてください。

  • 事故をおこさない。
  • キャンプ指定地以外でテントを張らない。
  • 駐車スペースがない(少ない)岩場には、車で行かない(特に休日 工事などの関係上、まれに逆の場合もある)。
  • 用便は岩場に出かける前にトイレで行なう。
  • 岩場および周辺の樹木を切らない。
  • 焚き火をしない。
  • すべてのゴミは持ち帰る。
  • 基本的にロープ、ヌンチャクなどを残置しない(壁にも取り付きにも)。
  • 地元の人に出会ったら挨拶する。
  • 地元の施設、商店などを積極的に利用する。