北川

かつて多くのトップクライマーを虜にした北川の大ハングは、今ではグレイドこそ中級レベルとなってしまったが、その質の高さは色褪せることなく訪れるクライマーを迎えてくれる。

この岩場の本格的な開拓は、1986年、チーム・イカロスの故・志賀光則氏を中心としたメンバー、及び野口俊文などによって始められた。1988年には野口によりさらにルートが追加され、1992年には、小林敏などにより残る空白部にも多くのラインが引かれた。

一時は25本といささか多すぎたルートも、あるものは整理され、あるものはバリエーションあつかいとなり、現在は分かりやすくなっている。

古くから登られている岩場だが、JFAでは2008年のリボルト作業に際し、岩場下の住民の方(前自治会長)、自治会役員の方、そして岩場の所有者である地主さんらと面会をし、駐車に関するルールやクライマーへの要望などをうかがった。岩場は地元の方々の信仰の対象になっているが、地主の好意、地元の方々の理解により、これまでクライミングが黙認されている。それを踏まえて、駐車を含めたルールやマナーを厳守して利用する必要がある。

しかし、2012年には、利用状況が悪いため、地権者の方が入山禁止を検討しているという情報が地元のクライマーから寄せらている。今一度、地主や地元の好意や理解によって利用可能になっている状況を理解し、ルール、マナーの厳守に勤めていただきたい。

【駐車場】
岩場へのアプローチ道入り口に2~3台分の駐車スペース。駐車する際は駐車スペース横の自治会公民館敷地内にある権現様の賽銭箱に駐車料として500円(1台)を入れ、そのお隣の住民の方がご在宅ならば一言断わりを入れる。また、近隣住民の方に会った場合は、岩登りに来た旨を伝え、挨拶を励行しよう。特に駐車についての指示があった場合はすみやかに従うこと。また、駐車スペースが満車の場合は、路肩等への無理な駐車は控える。

岩場は最寄駅・西吾野から徒歩30分程度で着くので、できるだけ電車利用をお願いしたい。

【支点整備状況について】
開拓後、20年以上経過しているルートも多くあり、支点類はかなり老朽化が進んでいます。順次リボルトは進めていきますが、打ち替え前・打ち替え後にかかわらず使用の際は十分に確認し、オウンリスクの原則のもと使用すること。終了点は従来のロープスリングを長く伸ばしたタイプは損傷がひどく、どれも大変危険な状態。また、杉林の間伐により、ハング上の古ロープの束が非常に目だってしまう状況となっている。

ほとんどのルートが「ハングを乗り越して終了」だが、それでは下降・回収の際に深刻なロープドラッグを招くことになりかねない。検討の結果、ハング上の安定した場所に“リアル終了点”を新設し、それとは別にハングのリップ付近に“回収用の支点”も設置された。創意と工夫で安全にトライと回収をしてもらいたい。

この岩場の特徴

  • リード(ボルト)

    リード
    (ボルト)

地域 関東 エリア 埼玉県
区域 奥武蔵
100岩場N0. 29
シーズン 通年だがベストは10月~12月、3月~5月。
冬は季節風が冷たく、夏は蚊がうるさい。
岩質 チャート 傾斜 90~120度
ルート数 18本(バリエーションなどが整理された結果)
~5.9:4
5.10台:4
5.11台:3
5.12台:7
駐車場GPS -
場所 埼玉県飯能市北川
アクセス 西武線西吾野駅から徒歩40分。全昌寺を過ぎ、中組自治会館の右の踏み跡を入る。車の場合は飯能から299号を秩父方面に向かう。ガソリンスタンド先の西吾野駅入口を右に入る(見落としやすい)。
自治会館横に2、3台分の駐車スペース(有料)があるが、ここが満車だった場合、ほかに駐車できる場所はない。休日は基本的に電車利用を心がけたい。
アクセスマップ
宿泊・
キャンプ地など
基本的に日帰りの岩場。周辺にキャンプ場はない。温泉は正丸トンネルを抜けた横瀬に武甲の湯がある。車なら山を越えた名栗川沿いのキャンプ場を利用できるが、その場合、温泉はさわらびの湯を利用できる。
その他 【利用マナー、注意点】
・近年、岩場付近の杉林の間伐がおこなわれ、見通しや声の通りなどが非常に良くなっている。その結果、クライマーの叫び声などが近隣住民の所まで良く届くようになっており、苦情も出始めている。岩場は静かに利用を心がける。

・山火事防止のため火気厳禁。焚き火はもちろん、ガスコンロ等の使用、タバコは控えること。

・北川の岩場は地元の方々の信仰の対象になっていますが(岩場上部に秋葉大権現の石碑あり)、地主さんのご好意、地元の方々のご理解により、これまでクライミングを黙認していただいている岩場です。過度のティックマークやギアの残置は控え、クライミング後は可能な限りチョークのブラッシングをする。また、事故だけはおこさないよう、最大限の注意をはらってトライすること。

・冬季は日が短く、「真っ暗になっても駐車場に見知らぬ車が止まっていると心配なので、できるだけライトなしでも歩けるうちに下山してきてほしい」との自治会長さんからの要望。ご協力いただきたい。
公衆トイレ 岩場にトイレなし。事前に済ませ、携帯トイレを持参する。
掲載書籍 関東