中嶋徹、ビショップの”Lucid Dreaming (V15)”を第4登

2月18日、中嶋徹がビショップ・バターミルクの”Lucid Dreaming(V15)”に成功した。ポール・ロビンソン、ダニエル・ウッズ、アレックス・メゴスに続く第4登。課題は非常に細かいわずか3手に凝縮されており。V12のムーブが2連続するとも言われている。アレックス・メゴスは完登に11日を要しており「これまでで最もハードな課題」とコメントした。

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文=中嶋徹 写真=橋本今史

ついに”Lucid Dreaming(V15)”を登りました。3回目のツアー、計16日のトライでした。ビショップについてから二日間は完全に雨で登れず、昨日も昼まで雨でした。夕方、ムーブの練習だけでもとエリアに行きました。

去年と同じように掃除し、準備をして、核心のムーブを練習したとき、その変化に驚きました。3回目にして指が裂けましたが、明らかに昨年より安定してムーブをこなせました。もうこの課題は登れる、今登るべきだと思いました。そして下から繋げて4回目、ついにランジが止まりました。

呆気ない幕引きに、正直戸惑っているところもあります。一体この3シーズンになんの意味があったのかと思う事もあります。正直この課題を登りたいと思ったことはありません。完全に苦手系な上に指皮に悪く、普通ならトライさえしない課題でした。この2年間、この課題にトライするのが嫌で嫌で仕方ありませんでした。僕は自分がこの課題をトライし続ける理由を色々考えてきましたが、どれも自分を納得させるだけの言い訳に過ぎません。もしかすると、一度トライし始めた課題を諦めたくないという、お粗末なプライドのせいだったのかもしれません。

こんな言い方するとあれですが、この3シーズンは無駄な時間だったと思っていました。それはこの課題が登れた今でも変わりません。貴重な3回のツアーを、それほど登りたくもなかった課題に費やしてしまったことは事実です。でも今はその無駄を受け入れることができます。自分のクライミングに特別な意味などなくてもいいのだと心から思えます。

トライしている時も、岩の上に立った時も、応援してくれた方々の事を思い出しました。僕は本当に支えられてあのトップに立つことができたのだと感じます。ありがとうございました。そして3年間同行してくれた橋本今史さん、すべてのツアーをサポートしていただいたThe North Face様には特にお世話になりました。”Lucid Dreaming”が終わったらやりたかった事がたくさんあります。ここは終わりではありません。

 

この動画は、ダニエル・ウッズが第2登したときのもの。
冒頭でポール・ロビンソンの初登シーンも見ることができる。

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