中嶋渉、”スティングレイ 5.14a”を第7登

2月25日、中嶋渉がジョシュアトゥリーで”スティングレイ 5.14a”に成功した。鈴木英貴、ソニー・トロッター、メイソン・アール、マット・シーガル、ウィル・スタンホープ、今井考に続く第7登と思われる。トライは2016年春に7日間、今回5日間の計12日間。

“スティングレイ”は前傾壁に走るシンクラックで、フィンガージャムはもちろん、さまざまなテクニックが要求され、初登の鈴木がピンクポイントであったことからも分かるが、プロテクションも決して良好ではない。

>>グレード比較表

文=中嶋渉 写真=橋本今史

待ちに待った瞬間がついに訪れました。

ジョシュアを発つまで残り2日となった昨日、”スティングレイ”との最終ラウンドに臨みました。これまでより早い時間にイグアナドームの下に着き、トップロープでシークエンスとプロテクションのセットをざっと確認して、リードでトライ。核心を越えたものの、前回と同じく残り3手で落ちてしまいました。足が滑って落ちたのだけれど、完全にパンプして力尽きていました。

1トライ目の後、自分の持久力のなさにうんざりしました。もう余力はなく、疲れ切って、このルートを登るための何かがまだ足りていないのではないかと思えました。「何か」というのは「何もかも」なのかもしれない。それでも、長いレストを挟んでもう1回トライすることに決めました。

そうして僕はもう一度核心を越えました。最上部のレイバックの直前にあるレストポイントでは、前のトライと同じように疲れていると感じていました。しかし、そうではなかったようです。また足元が少しスリップしたものの、今度こそ最後のガバを捕らえ、全力で引き寄せました。

あとは終了点で、子供のように泣いていました。

このルートの第7登、もしくは8登ということになるのでしょうか。ですが、それはどちらでもいいことで、重要なのは、諦めかけた自分自身に克つことができた、ということです。

これが今この瞬間、自分にあるすべてです。

次に訪れる瞬間のことは、想像もつきませんが、きっとまた素晴らしいものになるだろうと予感しています。

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