今シーズンのパタゴニアで唯一の成果(?)。ベルギーチームがパイネ中央岩塔東壁英国ルートをフリー化(1200m、8a+)

Siebe Vanheeさんの投稿 2017年2月28日

 

資料=desnivel.com  文=羽鎌田学、北山真

その名も”El regalo de Mwono”「山の神ムウォーノの贈り物」。ニコラ・ファブレス、ショーン・ビジャヌエバ、シーベ・ファンヘーエ、最強のベルギー人トリオは、1992年にポール・プリチャード、サイモン・イェーツ、ショーン・スミス、ノエル・クレインらイギリスチームが完成した同ルートのフリー初登を、悪天候に耐えながら19日間を費やし手中にした。

世界最高峰のトラッドクライマー、ニコラ・ファブレスを要に、これまで幾多のビッグウォールで成果を挙げてきたベルギーチーム。今一度、彼らの卓越したクライミングテクニックと、逆境を耐え抜く素晴らしい能力を誇示した。

惨憺たる天候に見舞われた今期のパタゴニア。笑顔で当地を去ることのできたクライマーはほぼなく、ほとんどのクライマーは泣く泣く撤退を余儀なくされた。そんな条件下での”El regalo de Mwono(エル・レガーロ・デ・ムウォーノ)”のフリー初登は、大いに注目に値する。

– 'Regalo de Mwono' –

It was only one month ago when we walked into Torres del Paine National Park with a modest…

Siebe Vanheeさんの投稿 2017年2月23日

 

ルートは、あの有名な “Riders on the Storm”のまさに右側に位置し、ほぼ同時期そのルートの完全フリー化に挑んでいたメイヤン・スミス-ゴバトとブレット・ハリントンは悪天候に涙を呑んで夢の実現を諦めたのであった。そのような悪条件の中、彼らは壁に取付き、遅々としたスピードではあったが、上へ上へと1ピッチごとフリーで登りながら、着実に高度を稼いでいった。荒れ狂う嵐に耐え、残り少ない食料を節約しながら、19日間かけての成功であった。

このラインは、スペイン人パーティーがそれ以前に2度試み未完成であったものを、前述のポール・プリチャード、サイモン・イェーツ、ショーン・スミス、ノエル・クレインの4人が1991年の年末から1992年の初めにかけて仕上げたルートである。当時初登者たちはABO、5.10、A4とグレーディングしたが、そんなルートを今回ベルギー人トリオはフリーで登り切り最難ピッチを8a+とした。

ニコラ・ファブレスとショーン・ビジャヌエバにとってパイネ中央岩塔東壁は特別な対象である。彼らのワールドデビューとも言える遠征が2006年の”Riders on the Storm”の第3登であり、2009年にはカメラマンでもあるベン・ディットを伴い、東壁ルート中でも比較的手頃な”Sudafricana”(1,200m, 7b+)”をフリー初登している。

Siebe Vanheeさんの投稿 2017年2月28日

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