BJC、女子は伊藤ふたばが2度目の金メダル、男子は原田海が初優勝


男女1位〜3位表彰台

文=北山 真 写真=山本浩明

2020年2月8日、9日、駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場で第15回ボルダリングジャパンカップが開催された。

予選最大の話題は、松藤藍夢(あのん、16歳)が、野口啓代、野中生萌、伊藤ふたば、森秋彩などの強豪を抑え1位通過したことであろう。他にも野部七海(15歳)、中川瑠(15歳)、抜井美緒(13歳)などの若手が予選通過した。

男子でも川又玲瑛(16歳)、佐野大輝(16歳)、星優輝(16歳)などがセミファイナルに進んだ。そんななか緒方良行、村井隆一などの強豪がまさかの予選落ちとなった。

女子セミファイナルでは伊藤ふたばがただ一人の全4課題完登で1位。野口、野中、森も3完登で続き、”4強”は安泰であった。松藤はここでも最後に登場というプレッシャーなどまったく感じさせない堂々とした登りで4位通過。谷井菜月も6位で通過。なお、森、谷井も同じ2003年生まれ。ファイナル6名中3名が16歳ということになった。

男子セミは波乱の展開となった。ファイナル常連の杉本怜、藤井快、そして昨年の覇者、石松大晟がここで姿を消したのだ。3完登は2名のみで川又が1位、井上祐二が2位。結果6名中4名がBJCファイナル初出場、常連は楢﨑智亜、原田海だけということになった。

女子ファイナルは課題ごとに順位が入れ替わる非常に見ごたえある内容だった。ハイライトは3つ目のスラブ課題。外傾したフットホールドから、2本の縦のハリボテをオポジションで止めるのだが、5名のうち誰一人この最初のムーブができない。そこに最後に登場した伊藤が、これを抜群のタイミングとボディコントロールで止め、そのまま完登。大逆転で1位に躍り出る。そして最終第4課題。いきなり巨大なハリボテの先端めがけ外向きの大ランジでスタート。1人目谷井できず。2人目森は1回だけ止めるがその上に行けず。3人目松藤できず。そして4人目野中がこれを一撃! 5人目の野口が2撃してふたたび首位となる! 

そして最後に伊藤、出だしのランジは一撃するも、パワーが消耗する中間部で2回も落ちる。もはや絶望的。野口の最後の表彰台中央を想像したギャラリーもいたであろう。ところが次のトライで伊藤は最後の力を振り絞り完登。ふたたび大逆転で優勝を決めた。


女子ファイナル第3課題をただ一人完登する伊藤ふたば

そして男子ファイナル。ニューカマーが多い中、最後にベテランが力を発揮、楢﨑VS原田の戦いとなった。

1課題目。見えないホルードへの変則ランジ。楢﨑はこれを瞬殺。原田は上部で失敗。
2課題目。ユニークなホールドとハリボテがさらに複雑に配置された”曲者課題”。誰もが手こずるこの課題をなんと原田は一撃!そして楢﨑はノーゾーン。ここが運命の分かれ道だった。
3課題目スラブ。ゼロ完登。2人ともゾーン獲得。
4課題目。アンダーへの大ランジ。楢﨑が3撃しトップに。しかし原田もこれを渾身のトライで完登。優勝を決めた。


男子ファイナル第2課題をただ一人完登する原田海

女子

1 伊藤ふたば 3T4Z 6 9
2 野口啓代  3T3Z 4 4
3 野中生萌  2T3Z 3 3
4 森 秋彩    2T2Z 3 3
5 谷井菜月  0T2Z – 3
6 松藤藍夢 0T2Z – 6

男子

1 原田 海  2T4Z 5 6
2 楢﨑智亜 2T3Z 4 3
3 井上祐二 1T3Z 6 9
4 川又玲瑛 1T2Z 2 5
5 小西 桂 1T1Z 7 7
6 佐野大輝 0T1Z – 6

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