ショーン・ビジャヌエバ、フィッツトラバースに単独で成功

gripped.com  訳=羽鎌田学

フィッツトラバースを初めて達成したのはトミー・コールドウェルとアレックス・オノルド。2014年のことだ。そして先日40回目の誕生日を迎えたばかりとはいえ、既にレジェンドの域に達しているベルギー人クライマー、ショーン・ビジャヌエバ・オドリスコールは、パタゴニアで名峰フィッツ・ロイとその脇に聳える峰々の頂を踏みながら縦走していく通称“フィッツトラバース”を単独で成し遂げた。しかも彼は2014年にトミー・コールドウェルとアレックス・オノルドが進んだのとは逆の方向(おそらくより困難と思われる)で、トラバースを完結させた。

 
 
 
 
 
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トミーとアレックスのペアはフィッツトラバースでフィッツ・ロイとその両脇に控える6つの岩峰の頂を踏んでいる。尾根の全長6km、累積標高差4kmに及ぶと言われている。ショーンは2月11日木曜日のSNSへの投稿を「みんな、誕生日のお祝いの言葉、ありがとう!」と始め、「誕生日を祝うために、ケーキを7個も自分で自分にプレゼントしたよ。そのうち何個かはアイシングで覆われていたよ。それと、付け合わせの料理も特別に2皿」(*)と書き込んでいる。


フィッツトラバース全景     写真=石鍋 礼

パタゴニアで活躍するトップ・クライマー、コリン・ヘイリーは自身のフェイスブックで次のように述べている。「ショーン・ビジャヌエバ・オドリスコールがフィッツトラバースの第2登を成し遂げた。ただし、逆方向のそれとしては初登となる。おまけに彼は単独で達成したのだ。これはパタゴニアで為された最も見事な“単独”登攀であることには疑いないが、そもそもパタゴニアでの登攀全般の中でも最も見事な登攀なのではと思わざるを得ない」

ショーン・ビジャヌエバ・オドリスコールは、2011年には前年にニコラ・ファブレス、オリヴィエ・ファブレス、ベン・ディットらと行なったグリーンランド遠征でのビッグウォール登攀を評価され、ピオレドール賞を受賞している。また2014年には、同メンバーと共に再びグリーンランドを訪れ、今度は北部中心に10本のビッグウォール・ルートを開拓する一方、「アドベンチャーズ・オブ・ザ・ドド」というタイトルの映画を撮影し、マウンテンフェスティバル等で賞も取っている。

*ショーンのユーモア。7つのケーキはトミー・コールドウェルとアレックス・オノルドも踏んだ7つの岩峰の頂き。ショーンは、アグハ・デ・ラ・エセ、アグハ・サンテグジュペリ、アグハ・ラファエル・フアーレス、アグハ・ポワンスノ、フィッツ・ロイ、アグハ・メルモーズ、アグハ・ギヨメの順番で踏破している。トミーとアレックスは逆の順番。ここでのアイシングは、焼き菓子の表面を覆う砂糖に卵白を加えて練ったペースト状のもの。頂を覆う氷(アイス)を掛けている掛詞。付け合わせの料理2皿とは、トミーとアレックスが踏まなかったアグハ・ヴァル・ビオイスとアグハ・カキートのことと思われる。

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