2020年 ピオレドール・アジアの日本開催が決まる

文と写真=萩原浩司

フランス語で「金のピッケル」を意味するPiolets d’Or。その年の最も優れたアルパインクライミングの記録に贈られる賞で、1991年、フランスの山岳雑誌『モンターニュ』と山岳団体「グループ・ド・オート・モンターニュ」によって創設された。賞の選考には世界トップクラスのクライマーや山岳ジャーナリストが関わり、授賞式に合わせてノミネートされたクライマーが世界中から集まる。そこで各々の登攀について詳細なプレゼンを行ない、ともにクライミングを楽しみ、情報交換をして親交を深めるといった一大イベントになっている。

そのアジア版ともいえるピオレドール・アジアは、2006年に韓国の山岳雑誌出版社「人と山」社が創設。日本の『ROCK&SNOW』、中国の『山野』などの協力を得て、2017年まで韓国・ソウル市で選考会と授賞式が開催されてきた。今回はそれを引き継ぐ形で2020年に限り、山と溪谷社が創立90周年記念事業の一環として主催することになったのである。

2020年12月2日に開催予定の式典では、ピオレドール賞のほかに生涯功労賞、そしてフリークライミングで著しい功績があったクライマーに贈られるアジア独自の「ゴールデンクライミングシュー賞」の表彰式も行なわれる。また、授賞式に先立ち、トップクライマーたちによる講演会も計画されている。アジアのクライマーたちが東京に集い、記録を発表し合い、ともに登り、語り合う……。クライミング界の今と未来を見据えるイベントに注目してほしい。


2019年11月11日、ソウルの「人と山」社で、ピオレドール・アジアの日本開催に関する合意文書が山と溪谷社の川崎深雪社長(左)と「人と山」社のチョ・マンニョ社長との間で取り交わされた

2012年に韓国で開催された第7回ピオレドール・アジアの授賞式会場風景

第9回大会(2014年開催)でピオレドール受賞者の名前を発表する萩原浩司審査委員長

第9回大会の授賞式前日にはインスボンで親善クライミングが行なわれた。クライマーは山野井泰史

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