BWC第5戦in八王子、野口啓代、ガブリエル・モロニが優勝

文=北山 真、写真=山本浩明

6月2日、3日、東京・八王子のエスフォルタアリーナでボルダリングワールドカップ2018第5戦が開催された。日本からは開催国枠(通常の3倍)を利用して、男子21名、女子17名が参加したが、予選を通過したのは男子7名、女子4名だった。

セミファイナルは男女ともバランスを要求される課題が多く、藤井快、楢崎明智、加島智子などの有力選手がここで脱落した。男子は3課題完登が6名というすっきりした結果。原田海が昨年のチョンキン大会以来のファイナル進出をはたした。

女子は野口啓代が、それまで完登者がひとりもいなかった第2課題を含む全4課題を一撃。異次元の強さで圧勝した。伊藤ふたばが、2課題完登者の中で最もアテンプト数がすくなく、2位という好成績で決勝初出場。

決勝の野口啓代

男女とも日本人が6名中半数をしめたファイナルは女子から行われた。課題はコーディネーション、オポジション、マントリングを多様する一筋縄ではいかないものばかり。結果の数字だけを見ると野口(3t3z55)、野中(3t3z66)の接戦のように見えるが、実際は野口の安定度がはるかに上回っていた。ゾーンにこそ達しなかったが、誰ひとりできなかった第3課題の変則スタートに成功するなど終始他選手を圧倒していた。

決勝の野中生萌

男子ファイナルは、細かいフットホールドでの足使いがポイントの第1課題をガブリエル・モロニ(30)のみが完登。外岩での経験値の違いを見せつけた。2課題目のかぶったチムニーはチョン・ジョンウォンのみが完登。ラインどりが難しい第3課題を、抜群の読みで杉本怜のみが完登。息詰まる戦いは最終課題に持ち込まれた。

決勝第3課題を唯一完登した杉本怜

2個の巨大アイスクリームコーンに取り付けられた極薄のホールドをたどる課題。まず杉本がゾーンをゲット。そして楢崎がとんでもないパフォーマンスを見せる。ただでさえ遠い出だしのランジホールドの一つを飛ばし、ゾーンホールドを直接保持、そのまま完登してしまう。最後にモロニが登場。もしボーナスを取れなければ、楢崎の逆転優勝となる。しかしモロニはきっちり完登し、自らの初優勝で大会を締めくくった。

決勝第4課題の楢崎智亜

決勝第4課題を完登し、初優勝を果たしたガブリエル・モロニ

リザルト

女子

1 野口啓代
2 野中生萌
3 エカテリーナ・キプリヤーノヴァ(RUS)
4 スターシャ・ゲヨ(SRB)
5 アルマ・ベストファーター(GER)
6 伊藤ふたば
――
15 加島智子

男子

1 ガブリエル・モロニ(ITA)
2 楢崎智亜
3 杉本 怜
4 チョン・ジョンウォン(KOR)
5 アレクセイ・ルブツォフ(RUS)
6 原田 海
――
10 楢崎明智
11 高田知尭
13 藤脇祐二
16 藤井 快

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