クライミング(ボルダリング)用 チョークの基礎知識

クライミングのとき、手につける白い粉。
この白い粉は「チョーク」と呼ばれ、主に炭酸マグネシウムから作られています。
なぜ、このチョークが必要なのか、またその種類を紹介しましょう。

文・写真=蓑和田一洋
*この記事は『CLIMBINGjoy No.4』掲載記事をもとにしています。

 

チョークは滑り止め?

実は、チョークの主成分である炭酸マグネシウム自体は滑り止めではありません。例えば、滑りやすい路面に炭酸マグネシウムをまき、その上を歩いたら、逆に滑りやすくなるほどです。
では、なぜチョークを使うのかというと、炭酸マグネシウムは吸水性に優れるから。つまり、手から出る汗を炭酸マグネシウムが吸い取ることで、手指が汗で滑ってホールドから落ちるのを防ぐ役割を果たしているのです。

 

チョークの種類

◇液体タイプ

炭酸マグネシウムをアルコールに溶かしたものがほとんどです。液状なので手のシワの奥まで炭酸マグネシウムがなじみやすく、またアルコールが手の脂を取るため、フリクション性能を長時間発揮します。粉末タイプのような粉の飛散がなく、屋内のクライミングジムでも使えます。

◇粉末タイプ

サラサラした粉状のものと、固形が少し残ったタイプがあります。チョークバッグに入れて、クライミング中でもチョークアップ(手に炭酸マグネシウムをつけること)が可能。岩場でのクライミングにおいて最も一般的に使われていますが、粉が飛散するため、多くの屋内クライミングジムでは使用が禁止されています。

◇固形タイプ

ブロック状になったチョーク。自分の手でつぶし、粉末にして使います。使い方は粉末タイプと同じ。小型、固形なので携帯性に優れます。

◇ボールタイプ

粉末タイプのチョークをボール状の袋の中に入れたもの。チョークが周囲に飛散する量が少ないのが特徴で、クライミングジムなど屋内でのクライミングに適しています。詰め替えができるタイプと、使いきりのものがあります。

 

選び方

粉末や固形、またはボールタイプの場合、サラサラしたものを好むか、それとも粗いものを好むかによります。さらに、ブランドが異なっても中身のチョークは同じような性質だったり、ブランドによってはオリジナルで工夫したりしているものも。ですから、ブランドイメージ(パッケージ)で選んでもいいし、自分に合う特徴的なものを探すのもいいでしょう。また例外もありますが、固形タイプは比較的安く買えます。

もうひとつ、大切なポイントは、滑り止めのロジン(松ヤニ)が配合されたものと、炭酸マグネシウム100%のものがあることです。炭酸マグネシウムは水に溶けるので岩についてもすぐに落とせますが、ロジンは水に溶けにくく、岩などに付着すると簡単に落とすことができません。そのため、ロジンが含まれたチョークを使用することについて問題視する声があることも知っておきましょう。 なお、岩につけたチョークはブラシ(歯ブラシなど)で掃除してから帰るのがマナーです。