[詳報]是永敬一郎が準優勝の快挙! IFSCリードワールドカップ 第2戦 ヴィラール 

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文・写真=小澤信太

周囲にそびえ立つ岩山が夕日で赤く染まろうとするなか、リードワールドカップ第二戦ヴィラール大会の決勝が行なわれた。

ドメン・スコフィックやゴーティエ・シュペールの優勝候補がセミファイナルで敗退しており、下馬評ではヤコブ・シューベルトの優勝が有力視されていたが、私はセミファイナルでみせた是永敬一郎の圧倒的な登りをファイナルでも___という大きな期待があった。

彼にとって二度目のワールドカップのファイナルという舞台で、トリを務める状況になるとは誰も想像しえなかったことであろう。ファイナルで、一番最後に登るのは大きなプレッシャーがかかる。何度もファイナルを経験している選手ですら、最後となると大きなプレッシャーで大きく順位を下げてしまうことも少なくない。しかし、私は是永の強靭なメンタルを知っているので、安心してファイナルを見守ることができた。

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ファイナルを戦う男女各8名の選手

男子のルートは流れるようにボリュームが配置され、そこにクリンプやサムキャッチ(親指に合わせて取り付けられる、スクリューオンホールド)が散りばめられていた。面の中に存在する点と点を繋ぐルートで、見た目だけではホールドのかかりが読みにくく、このようなルートは現場での判断能力が試させる。

樋口純裕、藤井快は中間部のボリュームに入ったところでフォール。フランスのトーマス・ジョネスがリップの手前まで到達し、優勝最有力のヤコブは中下部でホールドの取り先を間違え、まさかのフォール。ショーン・マッコールは持ち前の軽快な登りで上部に出るところでフォールした(暫定一位)。

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ショーン・マッコール

そして、男子最終選手となる是永のクライミングがスタートした。あっという間に下部をこなし、ボリュームが連続する中間部に突入した。大きなムーブが連続するが、是永もそれに対応する。誰よりも簡単そうに登っていたので「これは勝てるかも」と思った瞬間、リップ手前の手順が読みにくいパートでムーブを読み違えてしまい、余力を残しながらもフォールしてしまった。

結果はショーンの三手下でトマースと同高度。セミファイナルのカウントバックにより、2位となった。この日の是永のパフォーマンスには世界中が驚いたであろう。低身長の選手はラモン・ジュリアン・プチブランケがいるが、是永のクライミングタイプは異質である。是永のスタイルが世界に通用することが証明された大会になった。

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是永敬一郎

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2大会連続優勝 ヤーニャ・ガーンブレット

女子は予選から圧倒的な強さを見せた ヤーニャ・ガーンブレットがファイナルでも他を圧倒する登りで2連勝を決めた。日本人で唯一ファイナルに進出していた小林は7位でフィニッシュした。

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男女 表彰台

◆男子
1   ショーン・マッコール(CAN)
2   是永敬一郎
3   トーマス・ジョネス(FRA)
4   ショーン・ベイリー(USA)
5   アーバン・プリモツィック(SLO)
6   ヤコブ・シューベルト(AUT)
7   樋口純裕
8   藤井 快
◆女子
1   ヤーニャ・ガーンブレット(SLO)
2   アナ・ベルーホーベン(BEL)
3   キム・ジャイン(KOR)
4   ジェシカ・ピルツ(AUT)
5   マグダレナ・ロック(AUT)
6   クリスティーヌ・シュランツ(AUT)
7   小林由佳
8   サロメ・ロメイン(FRA)

11   大田理裟
18   小武芽生

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