最後の(?)リードジャパンカップ、愛媛で開催(2)

しかしバブルの残滓も消え去った2000年代になると、自治体の経費削減で国体の競技施設そのものが仮設が増え、何回かは他の会場での開催となっている。さらに、ポストイベントに予算がつく見通しもなくなってきた。そこで窮余の策として打ち出されたのが、後がダメなら前、という発想の転換。国体競技から縦走が消え、リード、ボルダーのクライミング系2種目のみになった大分大会から、国体前のリハーサル大会の中でジャパンカップを行なうことになり現在に至っているというのが、ジャパンカップの(苦難の)歴史である。

そして今年、前述のようにジャパンカップは日本代表選考大会からはずされることになった。国体のリハーサル大会として開催する関係上、現在のリード種目の予選形式(2ルートのフラッシュ)での開催が難しく、国際大会と異なるフォーマットの大会を選考大会とするのは如何なものか、という選手強化委員会から意見が出されたことによる。さらに来年からは、国体のリハーサル大会では大学選手権を実施することが予定され、リードジャパンカップの受け皿は現時点では未定だ。リードのもう一つの公式戦である日本選手権に一本化され、リードジャパンカップは今年限りとなる可能性もある。さらにボルダリングジャパンカップも名称の統一ということで、ボルダリング日本選手権となるかもしれない。

そうなればリードは31年、ボルダリングは12年、ともにそれぞれの種目を代表する大会であったジャパンカップの名称は今年限りで消えてしまうことになる。オリンピック追加種目決定とともに、日本のコンペも一つの時代の終焉を迎えているということであろうか。

しかし、国内の公式大会の数は決して多いとは言えない。日本山岳・スポーツクライミング協会、そしてその傘下の各都道府県山岳連盟/協会主催の大会は、日本選手権、ジャパンカップのほかは、国体の県予選、ブロック予選。ユースの大会を含めても極めて少ない。民間ジムのリードの大会は皆無ではないが、国際大会のフォーマットに正しく従っているわけではない。オリンピックに向けて、スタッフの能力向上などということも言われているが、実際の大会運営を経験する機会もなく、かけ声だけでそれが可能とは思えない。国体リハーサルであったがゆえの制約を離れることのできる今、廃止ではなくリードジャパンカップの再生を検討すべきであろう。

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