鈴木雄大、鳴海玄希、山本大貴らがHashoⅡ東壁を初登攀

2025年9月13日、カラコルム山脈のHashoⅡ(6080m)東壁を初登攀した。
HashoⅡはカラコルム、K6近くのLachet Valleyという山域に位置する山。当初は今回登った山にほど近いチャンギⅡを予定していたが脆く、また麓へのアプローチの氷河も温暖化により荒れていたため2時間程度氷河上で迷った後に諦めてHashoⅡの登攀を選んだとのこと。

これまでの鈴木雄大さんの遠征と言えばアックスを用いて氷やミックス壁を登るようなものが多かった印象だが今回の山は結果的にはアルパインロックが90%を占めるものだった。これまでにHashoⅡは真反対の氷河からロシア隊が雪歩き主体で初登しているものの、今回のチームがアプローチした氷河自体に奥まで入ったチームは恐らくおらず、東壁も手付かずだったので、良い登攀対象となったようだ。
登攀ラインは写真で見たところすっきりしたものに見えるが実際には登攀ラインの左右は脆かったり、落石が頻発していたりで、大まかに見ると唯一とも言える部分で奇跡的に山頂まで繋げたラインとなった。またチャンギⅡを断念する理由ともなった氷河の崩壊は凄まじく、7回ほど足半分〜腰くらいまで落ちたものの幸いにして大きなヒドンクレバスには落下せず怪我なく下山できたと鈴木雄大さんは語った。

 

写真=山本大貴

 

同世代と遠征を共にすることの多かった鈴木雄大さんにとって今回の遠征ではこれまでと違い一回り年齢の違うクライマーらとチームを組むことになったが

「年齢を重ね、学生時代や20代中盤の時よりもアルパインクライミングのパートナーを探すことは難しくなっています。そんな状況で、パキスタン遠征を熱望し、同じくパートナーを探していた山本さんと、鳴海さんとチームを結成しました。鳴海さんとはジョージアスキートリップや日常のスキー、クライミングをしばしば共にしていましたが、山本さんとはWCMで会ったものの、一緒に登ることはなかったです。半年間で瑞牆山や二子山、城山の継続登攀、ポーターレッジ、富士山での宿泊など、長い時間を共に過ごしました。山本さんと鳴海さんはセロキシュトワルやカンナチュゴなどを共にしていましたし、チームワークは問題なかったです。最後のズタズタの氷河下山は、シャモニで国際検定を受けた直後の鳴海さんの判断を頼りにさせてもらい、安心感がありました。」

と語り、チームワークについて振り返った。そして今回の登攀については

「取付では三ツ星のクラックかと思いましたが、手を入れてみると余りの砂の凄さに驚きました。粘ってフリーを狙うことも当然考えましたが、早々に諦め、登頂優先に切り替えました。その後もひとつしか持っていない5番サイズのワイドが続いたり、泥を掻き出しながらクラックを登るピッチが続き、前半はエイドを交えて登ることで精一杯でした。2日目くらいから岩は硬くなり、たまにランナウトはあるものの気持ちよくロープを伸ばして行くことができました。最終日の3日目、パキスタンお決まりの青氷がでてきましたが、隊で一つだけ持ってきていたしっかりとしたクランポンとアックスで何とか乗り越えました。下降に使う氷は安定していて助かりました。」

と話し、写真では語り切れないパキスタンでのアルパインロックについて教えてくれた。
詳細についてはROCK&SNOW109号(2025年12月発売)に掲載予定。ほかノース・フェイスの店舗でもトークショーを予定している。

【イベント情報】

10月3日(金)19:00~21:00(受付18:45~) 
THE NORTH FACE Mountain (東京都渋谷区神宮前6丁目10−11 原宿ソフィアビル 1F)

10月4日(土)18:30~20:30(受付18:15~)
THE NORTH FACE+グランフロント大阪店 (大阪府大阪市北区大深町4−20 グランフロント大阪 南館 5F)

※予約必須 詳細はウェブサイトにて

 

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