循環する素材で次世代へつなぐ進化型万能ハードシェル。アークテリクス「スペーロ SV ジャケット」
アークテリクスの「スペーロ SV ジャケット」は、過酷な環境に対応するGORE-TEX Pro(ゴアテックスプロ)仕様の機能性と、何度も再生可能な化学リサイクルナイロンによる循環性を兼ね備えた万能ハードシェル。循環型のものづくりをめざすブランドの新たなアプローチに迫る。
文=小川郁代 写真=中村英史 取材協力=アークテリクス
※実際の製品では、フロントファスナーの引手の仕様が異なります
「巡る素材」がつくる生まれ変わるシェル
環境課題への取り組みに力を入れてきたアークテリクスが、「循環型リサイクル」をテーマに掲げ、新しいリサイクル素材を使用したハードシェル「スペーロ SV」を発表した。厳しい環境での幅広いアクティビティに対応する、マルチユースな高性能モデルだ。リサイクル素材自体は「アルファ SV」をはじめとするハイエンドシェルにもすでに採用されているが、今回の素材は従来のリサイクルと何が違うのだろうか。
スペーロ SVのリサイクル素材には、これまでとは大きく異なるふたつの特徴がある。ひとつは、漁網などのナイロン廃棄物を原料としていること。品質や耐久性の面で実現が難しいとされてきたが、3年に及ぶ研究開発の末、アークテリクスとゴア社が定める厳しい基準をクリアした。もうひとつは、このリサイクルナイロンが、再び素材として再生可能であること。「リサイクルされた素材」であっても「リサイクルできる素材」ではなかった従来の素材とは、一線を画すものといえる。

素材を「0」に戻す化学リサイクルの力
これを可能にしたのが、アクアフィル社が開発した化学リサイクル技術だ。素材を溶かして物理的に再利用する従来の手法とは異なり、廃棄素材を化学的に分子レベルまで分解し、原料に近い状態へ戻すことで、役目を終えた製品を再び高品質な素材へと生まれ変わらせる。これを次の製品へつなげることで、リサイクルを一度きりで終わらせず、循環させ続けることができる。この取り組みに、あえてシビアな機能性が求められる「ゴアテックスプロ」で挑んだのは、ブランドのものづくりのこだわり。SVの名に恥じない機能と循環性の両立の裏には、幾度も重ねた綿密なラボ検証と過酷なフィールドテストがある。

使い続ける、その先へ循環するものづくり
アークテリクスはこれまでも、耐久性を追求し修理サービスを確立することで、「長く使うこと」に深く取り組んできた。そこからさらに視野を広げ、素材調達から再生まで、ものづくり全体をひとつの循環として捉える「System0™(システム・ゼロ)」。その思想を具現化する最初のプロダクトとして「スペーロ SV」は、この先フィールドで長い時間を過ごす。そして、いつかその役目を終えた後、形を変えて再び山に戻ってくる。ここから、新たな循環が始まる。
製品の一生を循環させるSystem0™とは
素材調達から設計、修理、回収・分解、再生まで、製品のライフサイクル全体を廃棄ゼロの循環として捉える取り組み。ケアや修理を担う「ReBIRD™(リバード)」を中核に、培った知見を次の製品設計に還元し、長く使えて修理・分解しやすい製品づくりへつなげる。製品寿命後は資源を高品質な素材へ再生し、最高峰のパフォーマンスと廃棄ゼロを両立。製品を売って終わりにせず、ユーザーと共に使い続ける仕組みまで含め、循環そのものの進化をめざす。
アークテリクス スペーロ SV ジャケット
再生可能な素材を使用したゴアテックスプロ仕様のジャケット。過酷なコンディションに対応する高い機能を備え、動きやすくレイヤリングしやすいレギュラーフィットを採用。山岳のプロの意見を取り入れたデザインで、ハイキングからアルパインクライミング、スノーシーンまで、幅広いアクティビティをカバーする

価格: 198,000円(税込)
サイズ :S、M、L、XL(メンズ)、XS、S、M(ウィメンズ)
カラー: 3色(メンズ)、2色(ウィメンズ)
重量 :506g(メンズ・M)
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詳細を見る(ウィメンズ)
アークテリクス
https://arcteryx.jp
*当記事は『山と溪谷』2026年10月号より転載
