2019年ピオレドールが発表。今春、亡くなったダーフィット・ラマらの登攀へ

今年のピオレドールは昨年同様、ポーランドのランデク=ズドルイで9月19~22日に開催される。8月、その式典に先行して、受賞が決まった3チームが発表された。

3隊のうち2つが単独による登攀。その当事者である、ダーフィット・ラマ(ルナーク・リ単独初登攀)とハンスイェルク・アウアー(ルプガール・サール西峰西壁、初登攀)はともに今春カナディアンロッキーの雪崩遭難で亡くなっており、本人不在の授賞式となる。祝福の場は、偉大なクライマーの功績を偲ぶ場になるだろう。

3つめは、“カラコルム最後の課題”ラトックⅠ峰を北稜経由で登頂したイギリス=スロベニア隊に贈られる。北稜は、1978年のアメリカ隊を皮切りに、40年来、世界の名だたるクライマーらをはねつけてきた。今回はその完遂ではないが、山としても39年ぶりの第2登という快挙。ただし、ラトック隊の一人、トム・リヴィングストン(英)は自身のSNSで授賞式欠席を表明。「アルパインクライミングは個人的な活動であり、そこには勝者も敗者もない」。アルピニズムと格付けの関係は、つねに悩ましい問題が横たわる。

ネパール/ルナーク・リ(6907m)単独初登攀

ダーフィット・ラマ(オーストリア、28)

ネパール=チベット国境にある未踏峰。15年、16年はアメリカ人登山家コンラッド・アンカーとトライしたが、今回は最初からソロで挑戦し成功を収めた。*『ROCK&SNOW』083・084号に関連記事


2の赤線が、ラマが初登攀したライン  ©David Lama/American Alpine Journal

パキスタン/ルプガール・サール西峰(7157m)西壁

ハンスイェルク・アウアー(オーストリア、35)

カラコルムの一端をなすヒスパー・ムスターグ山群の秘峰。情報わずかな未知性の高いルートにワンデイで挑んだ。*『ROCK&SNOW』084号に関連記事


Bがルプガール・サール西峰で、赤線が登攀ライン  ©Hansjörg Auer/American Alpine Journal

パキスタン/ラトックⅠ峰(7145m)北稜~南面】

トム・リヴィングストン(イギリス)、ルカ・ストラジャール(スロベニア)、アレシュ・チェセン(スロベニア)

ラトックⅠ峰北稜の異名は「カラコラムのグランドジョラス」。今回は北稜の3分の2あたりから北西壁へトラバースし、Ⅱ峰との稜線から南面側へ回り込み頂に立った。*『ROCK&SNOW』081号に関連記事


2の赤線が、今回の登攀ライン ©Sergey Glazunov/American Alpine Journal

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