世界選手権ボルダリング、楢﨑智亜圧勝、野口啓代2位


圧勝した楢﨑智亜(写真中央)

文=北山 真 写真=山本浩明

8月11日~21日の日程で、八王子エスフォルタアリーナで開催されているクライミング世界選手権の、ボルダリング競技がまず終了した。

11日は女子予選。野口啓代とヤーニャ・ガーンブレットが1位通過。ガーンブレットは5課題すべて一撃。日本人女子は6名中4名が予選通過。

12日は男子予選。緒方良行とアダム・オンドラが1位通過。日本人男子は7名全員が予選通過した。

13日は女子セミファイナルから始まった。非常に厳しい内容で、かろうじてガーンブレットが3完登、野口が2完登したものの、なんと20名中16名がゼロ完登。野中生萌とショウナ・コクシーは3ゾーンで決勝に進んだ。残念だったのが伊藤ふたば。野口もガーブレットも核心を超えることができなかったスラブ課題を、2回も最終ホールドに達しながら完登できなかったのである。

男子セミファイナルもやはり厳しい印象だったが、中盤あたりから完登が時々見られるようになった。終盤でそれまで誰も登れていいなかった第1課題を、藤井快、アダム・オンドラが相次いで完登し、この二人の対決かと思われたが、やはりオンドラの方が役者が上でただ一人の3完登。4課題目は途中でやめるという余裕の1位通過であった。惜しかったのが緒方で、3つの課題で最終ホールドをつかみ切れず、結果ゼロ完登になってしまった。

女子ファイナルはそれぞれの選手が良いところを見せた。野口はノーマルな課題を着実に少ないトライで登り、野中は珍しくバランス系の課題で実力を見せた(しかもガーンブレットも野口も登れず)、カズベコバは得意のスラブで魅せた、コクシーは復活したといえよう。


ファイナル第1課題の野口

しかし何といっても圧巻だったのは第2課題のコーディネーション(3段横っ飛び)であろう。他の選手がかすりもしない中、ガーンブレットは5回目にこの神業をやってのけた。まさに”次元が違う”パフォーマンスであった。倉菜々子はこの大舞台に立ったというだけで、大きな収穫であったと言えよう。


ガーンブレットが第2課題で見せた神業

男子ファイナル。これほど印象に残るラウンドも滅多にない。楢﨑の圧巻のパフォーマンス(楢﨑2完登意外は全員ゼロ完登)のすごさはもちろんだが、それにも増してというのも変だが、オンドラの突然の不調にはびっくりした。どんな天才にも弱点はある。ファイナル1課題目がオンドラにとってのそれだったのであろうか。オンドラの実力にしてみればなんでもないスタートのデッドが止まらない。その後はまったく見る影もない状況、結果ゼロ完登、ノーゾーンに終わったのである。


ファイナル第3課題の楢﨑


女子表彰台(左から野口啓代、ヤーニャ・ガーンブレット、ショウナ・コクシー)

女子

1 ヤーニャ・ガーンブレット SLO
2 野口啓代
3 ショウナ・コクシー GBR
4 イェヴゲニヤ・カズベコバ UKR
5 野中生萌
6 倉菜々子
ーー
7 伊藤ふたば

男子

1 楢﨑智亜
2 ヤコブ・シューベルト AUT
3 ヤニック・フロへー GER
4 藤井 快
5 土肥圭太
6 アダム・オンドラ CZE
ーー
7 杉本 怜
9 原田 海
13 楢﨑明智
14 緒方良行

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