ニール・グレシャム、アイアンクラッグでFinal Score (E10 7a) を初登

Natalie Berry UKClimbing.com 訳=羽鎌田学

 
 
 
 
 
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9月27日、ニール・グレシャムはレイク・ディストリクトにあるアイアンクラッグでFinal Score (E10 7a)*の初登に成功し、3年来のプロジェクトに終止符を打った。アイアンクラッグの激しくオーバーハングしたメインウォールのど真ん中を一直線に登っていくラインである。

ルートは3つのパートから構成される。取付きから直上する最初のパートは2019年にクレイグ・マシソンによって登られたもの。ルート全体の3分の1に相当する中間部はデイブ・バーケットが1992年に初登した今ではテストピースとなっているIf 6 Was 9(E9 7a)をいく。そして最後は今年の6月にニール自身が初登したWay Out West(E8 6c)のラインに合流し、圧倒的なヘッドウォールを乗り越えてフィニッシュ。

If 6 Was 9は、英国のハード・トラッドクライミングを代表する貴重な一本として広く見なされているルートだ。2007年に再登したデイブ・マクラウドは、第2登成功の前に次のように語っている。

「それは私が世界で最も再登してみたいトラッドルートで、その難しさを例えるなら、核心で落ちたらほぼ確実に死ぬだろう、といったところでしょう」

そして付け加える。

「単純な難易度はスポートルートのスタンダードな8a+でしょう。でも8c+とか9aとかを登れるくらいの力が必要です。なぜなら上部で何か予想外のことが起きた時に、足を踏み入れてしまったデスゾーンから引き返さなければならないのです。その引き返すだけの力がある場合に限ってのみ、これほどまでに危険なルートに挑戦することが正当化できるのです」

その悪評に輪をかけるように、デイブ・マクラウドの再登以来、幾つかのホールドが欠けたり、プロテクションが抜けたりしていた。ゆえにIf 6 Was 9の難易度は、昨年の11月にクレイグ・マシソンが第3登に成功した時には、より高くなっていてもおかしくはない。ニールは次のように語る。

「ルート上方に不気味に聳えるヘッドウォールを忠実に登っていくラインを付け加えることによって、スケールが大きくてモダンなスーパー・トラッドルートを確立できる可能性があったのです」

そして実を結んだのが、Final Score、ニールにとって2本目のE10 7aとなった。1本目は2002年に登ったサウス・ヨークシャーのバーベッジ・サウスエッジにあるEquilibrium。しかし彼は言う。

「Final Scoreは、今まで登ったルートの中で最難の一本でしょう」

そしてインスタグラムの中で次のようにコメントしている。

「2人の子供の父親になって、最近はハードなトラッドクライミングに臨む時の気持ちが変わってきました。今はもちろん、危ういパートを冷静沈着に登り終えることができて、それはもう嬉しいです」

*E10 7aは比較表によるとおおよそ5.14b~5.14d程度と思われるが、それはルート全体の困難度であって、ムーブのグレードではない

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