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北山真のクライミングなんでもQ&A 第2回


クライミングを始めたころ、誰もが思う「???」を集めました。

*この記事は『CLIMBINGjoy No.6 2011年4月号』掲載記事をもとにしています。

  回答者 北山 真

 


クライミングは誰が始めたのですか?


目の前に岩が現れたとき、それを登ってみたいと思うのは、人間の本能だと思います。高さが何十メートルもある壁の場合は、先に危険を感じてしまいますが。例えば3、4mのボルダー(石ころ)があって、しかもその上が平らだったりしたら、「この岩の上に行きたい」とは、ほとんどの人が思うことではないでしょうか。こうして本能の赴くままにクライミングをやった人間は、それこそ原始時代からいたことでしょう。
ロープを使ったクライミングが最初に行なわれたのは、1800年代のドイツであろうということになっています。場所は旧東ドイツのドレスデンあたり。エルベという地域には砂岩という岩質の塔がニョキニョキと立ち並んでいます。それらのタワーを登る人々の間では、ハシゴを用いない、岩にホールドを刻まない、ロープやピトン(ハーケン)などにぶら下がって前進しない、など現代のフリークライミングに通じるルールがすでに確立されていました。


ルートはどのようにしてできるのですか? また、おもしろい名前のルートがありますが、誰が決めるのでしょう?


新たにルートをつくることを「ルート開拓」といいます。 まずは初期のルート開拓の話をしましょう。最初に岩を見つけたら下から眺めて、登れそうと思うラインを登ります。日本の場合、上部には大木が生えていることが多いので、それを目指して登ります。途中、木が生えていたらスリング(ひも)を掛け、岩の割れ目があったらそれに専用の道具をセットして、カラビナでロープを通していきます。壁の長さが20m以下の場合は、上部の大木にたどり着いたらロープを木に掛けて、二重になったロープを専用の器具を使って降ります。つまりロープの長さは40m以上であるわけです。地面に着いたらロープを引き抜いて完了。このように地面からいきなり登りだすことをグラウンドアップといい、古典的なルート開拓です。
ところが、途中に木が生えていない、割れ目もない、でも手がかりはある、というような岩の場合、ボルトというものを設置しなければなりません。しっかりしたボルトを設置するには電動ドリルが必要です。つまりグラウンドアップで開拓することはほとんど不可能になる。このような場合はトップダウンといって、あらかじめ別の簡単なルートから(歩いて)岩の上に行き、ロープにぶら下がりながら必要な場所にボルトを設置、あらためて下から登るということになります。最近の難しいルートは傾斜が垂直より強いものがほとんどなので、なおさらこの方式が多いです。
ルートの名前は最初に登った人が好きにつけていいことになっています。昔は左ルート、中央ルート、鈴木・山田ルートなんてシンプルなものが多かったですが、今は多種多様、曲名、食べ物やレストランの名前、子供の名前、叫び声、まったく意味不明の言葉などさまざまです。ただし、あまり下品な言葉、病名などは避けたいものです。


グレードはどのように決めるのでしょうか


まずは、最初に登った人がルート名とともにグレードをつけます。どのようにしてつけるかは単純。今までに登ったルートのなかでAルート(5.10)より難しいけれどBルート(5.12)より簡単という場合は5.11ということになります。ただし、この5.11も4段階に分かれています(5.11a、5.11b、5.11c、5.11d)。5.11aよりは難しいけれど5.11cよりは簡単ということなら、5.11bであるという結論となります。
やたらと「5.」というのが出てきますが、これはフリークライミングを表す記号だと思ってください。ちなみに、口にするときはこれを省略して5.10aを「テンエー」、5.11bなら「イレブンビー」と言うことが多いです。
その後、そのルートを何人もが登ってグレードがおかしいという話が複数出てきたら、雑誌やルート図集などでグレードが改定されたことが発表されます。ボルダリングのグレードはアメリカのVグレード(V0〜V16)、ヨーロッパのフォント(1〜4、5A〜8C+)、日本の段級(10級〜1級、初段〜六段)などが使われています。


ボルダーとルート、 どちらが初心者に向いているでしょうか?


現在、次々とオープンしているクライミングジムのほとんどがボルダリング専門です。こういうジムでは、ボルダーのみなので選択の余地はありません。本格的な大きなクライミングジムはボルダーとルートが両方できるようになっていますから、そういったジムに出かけて両方体験してみるのもいいでしょう。 個人的には、初心者こそルートを登るべきだと思います。夢中でぐいぐい上を目指す喜び、自分の体がどんどん上がっていく不思議な感覚、そしてある程度の高さまで登ったときの達成感は、何物にも替え難いものです。
かたやボルダリングは「できるかできないか」の世界で、ある意味すごく厳しい。体育会系で、一時はひとつの競技にかなり入れ込んでいた、というような人なら、ボルダリングで「できるまでがんばる」ということに喜びを見いだすかもしれませんが、そうでない人は「半日がんばっても1mしか登れなかった」と感じてしまうかもしれません。
そこをいくとルートは、ぶら下がりながらでも(最初は当然、トップロープです)上までいけば、ある程度の満足感が得られますし、「よくがんばりました」と褒めてもらえるかもしれません。


クライミングを始めようと思いますが、 まず何を買えばいいですか?


なんといってもシューズでしょう。シューズこそはクライミングで唯一といっていい、登れる・登れないにかかわる道具だからです(実は、ほかのすべての道具は安全を確保するためのもの)。そしてシューズは、履いているうちに本人の足形になじんでいくものなので、なるべく早めに自分の専用シューズを手に入れることです。ただし、モデル選びもサイズ選びも微妙ですから、しっかりしたアドバイザーがいる専門店で買うことをおすすめします。自分勝手に一足履いて「これでいいや」なんて決めないこと。


クライミングシューズにもいろいろあるようですが、 どこが違うのですか?


レースアップ(ひも締め)、ベルクロ(マジックテープ)、スリッパの3タイプに大きく分けられ、それぞれに長所、短所があります。

    • レースアップ=サイズ調整が幅広く可能。つま先まできっちり締められる。ひもが邪魔になってトウフックがしにくい。面倒。
    • ベルクロ=脱ぎ履きが楽。レースアップタイプより安いことが多い。ベルクロテープの材質によっては、やはりトウフックがしにくい。
    • スリッパ=シンプルで安い。特にアッパーがスエードのものはトウフックが決めやすい。脱ぎ履きは意外と面倒。

このうちのどれがいいとは一概にはいえません。注目なのは、各社が初心者用にそろえている、価格が抑えめで、なにより作りが頑丈な「エントリーモデル」。初心者は慣れないのでどうしても乱暴な足の置き方になり、スリップすることも多いので、頑丈さはかなり重要なファクターです。


クライミングは何歳から可能でしょうか?


もちろん決まりはないですし、体の成長は人それぞれですから、なんともいえませんが、あの小林由佳さんが始めたのは7歳というのはひとつの基準となるでしょう。また、ワールドカップ出場を目指すのであれば、遅くとも10歳までには始めたいところ。最初の2年間(10〜11歳)で、ロープワークなどの技術、あらゆるムーブを習得します。次の2年間(12〜13歳)で瞬発力、持久力など体力的な部分を強化。その次の2年間(14〜15歳)で国内コンペに積極的に出場、併せて海外でのユース大会も経験します。そして16歳を迎えてワールドカップにデビューするという筋書きです。
ここから先、実際に世界を相手にどこまでの成績を残せるかは、かなり厳しい世界ですし、多分に「才能」というものがかかわってくるのですが、16歳で世界へのスタートラインに立つこと自体は、それほど難しくないはずです。


スラックラインはクライミングに有効ですか?


まず誰もが思うのは、スラックラインもクライミングもバランスが重要だから関連するだろうということです。確かにどちらもバランスは重要ですが、スラックラインが平衡感覚中心なのに対して、クライミングのバランス感覚はムーブごとに異なり、スラックラインのように単純ではありません。さらに、スラックラインは動くラインをいかに動かないように抑えるかが重要ですが、もちろん自然の岩も、人工ホールドも動きはしません。
ただし、基礎的な体力づくりには有効です。昔、クライミングは指先と腕さえ鍛えればいいとされていましたが、現在ではそれはまったくの間違いであったことがわかっています。特にスラックラインで鍛えられるとされている「体幹」はクライミングに非常に重要。遊びながら体幹が鍛えられるのであれば、最高の気分転換になるのではないでしょうか。


コンペはどこまで登ったかで成績が決まるようですが、 速さは考慮されないのですか? また、登る美しさを採点する競技があってもいいと思いますが。


速さはそれを競うスピードコンペという別のジャンルがあり、選手も通常のリードとは別です。国としてスピードに力を入れているのは、中国、ロシア、ウクライナ、ポーランドくらいで、すべてが、リードではあまり強い選手がいない国。スペイン、フランス、オーストリア、スロベニア、日本のようにリードが強い国は、スピードは完全に無視しているのが現状です。また、岩場やクライミングジムでの一般的なクライミングにおいては、誰もスピードクライミングなんて行なっていませんし、「〇○ルートを12秒で登った!」なんてことを発表する人もいません。
では、なぜスピード競技が行なわれているのか。ひとつには、観客にわかりやすいということがあります。同じ2本のルートで同時にふたりが競争するので一目瞭然です。あとは、才能や体力があれば、比較的すぐに選手となり得るということがあります。リードの場合、コンペで通用するようになるには、少なくとも2、3年はかかりますが、スピードなら半年でも可能でしょう。
登る美しさを採点するというのも、おもしろいかと思いますが、「美しさ」は人によって感じ方が違います。流れるようにスムーズに登るのが美しいと思う人が多いでしょうが、パワーでねじ伏せていくような登り方も、ある意味「美しい」もの。また、流れるように登る人間が必ずしも高いグレードを登れるわけではない場合も多く、「あんなにカッコつけて、あれしか登れない」と、流れるような登りが裏目に出ることもあります。
どうしても、「どれだけ難しいルートを登れるか」が最優先されるのがクライミングなのです。

 


クライミングをやると、やせますか?


答えはイエスでもありノーでもありますね。
ただ漠然と登っていてもやせるか、ということならノーです。それどころか、筋肉が付く分、体重は増えるかもしれません。ただし、あなたが現在、多少太っているなら、まじめに登っていれば(週2回以上?)筋肉が付き脂肪が減るので、体重は変わらなくとも、ずっと引き締まった体になるはずです。
そして長いスパンで考えればイエスです。というのは、ずっとクライミングをやっていると、自然に「太ってはいけない」「やせれば登れる」という強迫観念(?)が体に染み込むからです。トレーニングでがんばるのもいいですが、ここ一番で結果を出したいというなら、やせたほうが早いかもしれません。元日本チャンピオンの女性クライマーから、コンペ前に病気をして最悪の体調で出場したら意外と成績がよく、不思議に思っていたら、病気で体重が減っていたからという話を聞いたことがあります。
常に「太ってはいけない」「やせれば登れる」という感覚が頭のどこかにあると、自然と暴飲暴食などしないし、体自体もやせる方向性をもってくれる気がします。


クライミングを始めると言ったら、知り合いが昔使っていたシューズ、 ハーネス、ロープ、カラビナなどをくれました。 とりあえず使って問題ないでしょうか?


いつごろ、どの程度使用していたのかによりますが、やめたほうが無難です。5年以上たっていたら、シューズ以外はやめたほうがいい。シューズは安全面には直接関与しないからです。ただし、シューズこそ最も進化が顕著な道具なので、いきなりハンディを背負うことになるかもしれません。
ロープ、ハーネスなどの繊維ものは、使用していなくても経年変化で強度が落ちています。管理が悪く、日光にさらされていたりしたら最悪。新しいものでも、1カ所でも繊維がケバ立っていたりしたら使用は控えるべきです。
金属製のカラビナは比較的劣化しにくいですが、使用履歴がわからないという怖さがある。例えば、誤って20mの終了点から岩の上に落としてしまったカラビナなど、見た目は大丈夫でも、まともクライマーなら使用を控えるものです。またカラビナも進化が顕著な道具で、新しい製品ほど、安全性が増しているものが多いです。

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