ラストプッシュのための ミニマム仕様。 アークテリクスの サミットパック

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小川郁代=文

クライミングのためのアイテムをそろえる「アルファ」シリーズに、軽量コンパクトなサミットパックがラインナップされた。「SL(スーパーライト)」の名が示すとおり、軽さをテーマにデザインされた、シンプルな一本締めのスタイルだ。

軽さと耐久性を両立させるのが、210デニールのコーデュラナイロンに、200デニールの液晶ポリマーをグリッド状に織り込んだオリジナル素材「HadronTM(ハドロン)」。薄手でハリがあり、この軽さからは想像できないほどの耐久性で、アルパインシーンのハードな環境に対応する。

ムダを削ぎ落としたシンプルなスタイルも、軽さに大きく貢献しているだろう。メインコンパートメントは、内側に小さなセキュリティポケットがあるだけのシンプルな1気室。23ℓという表示よりも、かなり大きな収納力がありそうに見える。

上部の大型ファスナーで開口するトップリッドも、たっぷりのサイズ。本体とトップリッドの間に固定用のストラップが備えられ、ここをロープの収納スペースとして使うことができる。

フロント下部に見えるのは、ドッグボーンタイプと呼ばれる金属製のアイスアックスアタッチメント。それ以外は、バンジーコードと縦に2本並ぶデイジーチェーンがあるだけで、フロントやサイドポケットなどの収納スペースはない。必要に応じてカラビナなどを加えて、背面側の左右にある二つのループも利用すれば、物に合わせた自由な収納が工夫できそうだ。

カーブを描く形のショルダーハーネスは、薄手のパッド入り。裏側や肌にこすれやすい部分には、ソフトな素材が配されている。ミニマムな仕様だがウエストベルトやチェストハーネスも備え、背負い心地にも気を配ってデザインされてい
るのがわかる。

トップリッドを固定するストラップに使われている、独特なフック型のプラスチックパーツも、アークテリクスらしいユニークなアイデアの一つ。

受け側のコードループにフックを引っかけるというシンプルな構造のため、一般的なバックルよりも軽量化でき、手早く扱えて破損のリスクも少ない。空の状態だとやや着脱がしにくいように感じるが、荷物が入っていると問題なく扱えて、外れたり、ほかのものに引っかかったりという心配もない。

開閉と中身に合わせたコンプレッションの作業が、フックをかけてストラップを引くという一連の動作の中でスムーズに完了する。

大きな荷物はデポし、必要なものだけを放り込んでさっと出かけるには、こんなシンプルな作りがありがたい。背面のフォームパッドは取り外しができるので、小さくたたんで持ち運ぶこともできる。

軽さと耐久性に焦点を絞ってはいるが、深いこだわりも随所に感じられる。たとえば、メインコンパートメントの開閉に使うドローコードが、センターから少し右にずらしてつけられているのは、おそらくここが、何度もテストを繰り返すうちに導き出された、開閉のためのベストポジションなのだろう。わすか数センチのために幾度となく続けられたポジティブな試行錯誤のストーリーが、このシンプルなパックの背景にあるのは間違いない。

アルファ SL 23 バックパック
価格: 2万5300円 
カラー: 2色 
重量: 590g
問合せ先: アークテリクスカスタマーサービス センター/アメアスポーツジャパン
arcteryx.jp