進化したアプローチシューズに ゴアテックス仕様の レザーモデルが登場!

小川郁代=文

数あるクライミング用品のなかでも、近年モデル数が急激に増えたアイテムの一つに、アプローチシューズがある。

以前は文字どおり、クライミングのアプローチのためのものだったが、主に岩稜帯を歩く登山やハイキングでの需要が高まったことで、よりマウンテニアリングシーンを意識したモデルを各ブランドが手がけるようになったことが、種類が大きく増えた理由の一つだろう。

それにつれて、従来のアプローチシューズでは重要視されてこなかった、防水性を備えるモデルが占める比率もかなり高くなっている。  

アークテリクスが今期リニューアル展開し、春夏シーズンで好調な動きを見せた「コンシールFL 2」にも、ゴアテックスモデルが用意されている。ここに秋冬シーズンに向けて、アッパーに1.3㎜厚のスプリットスウェードを使用した、レザーモデルが追加された。アークテリクスらしいニュアンスカラーが映える、クラシックで高級感のある表情だ。  

最大の特徴は、スエードアッパーのゴアテックス仕様でありながら、27㎝サイズで片足400gを下回る軽さ。多くの防水モデルが、登山靴の流れを汲む分厚いソールで重量を増す傾向にあるのに対し、あくまでも本来のアプローチシューズの用途に軸足を据えた、軽さを重視したつくり。

「取付までの長い道のりを素早く移動するため」という、コンシール FLのコンセプトを迷わず踏襲している。

狙ったポイントに正確に爪先を置ける、90度にエッジングされたトウキャップ。置いた爪先に力を確実に伝えるための、反り上がりの少ないアウトソール。爪先近くまで届くレースの配置。シンプルなデザインの各所にクライミングシューズを意識した設計が明確に見て取れる。

レースホールよりも摩擦の少ない、ループにレースを通すスタイルも、脱ぎ履きの多いクライミングシーンのためのアイデアだ。  

シューズ全体の剛性は高めだが、屈曲は非常にスムーズ。スピーディな足送りと、小さな足場に爪先で立ち込める安定感の両方が手に入る。

適度なねじれ剛性も備え、変化する路面にも柔軟に対応する。今期のリニューアルでパターンを変更したビブラムメガグリップのアウトソールは、乾いた岩だけでなく、日本のアプローチに多い泥や土、枯れ葉や木の根などへの対応力が高まり、下りでの安定感が格段に向上している。  

コンセプトを登山靴に寄せるのでも、長距離歩行を想定から外してタウンシューズに近づけるのでもなく、岩場への道のりをしっかりと歩くためのアプローチシューズに、ゴアテックスの防水透湿性をプラスすることで、さらなる快適性をめざした一足。

徒渉で始まる長いアプローチや、雨雲をにらみながらダメ元で出かける朝の一歩を軽くしてくれるだけでなく、クライミングシューズに履き替える予定のない日や、濡れたアスファルトの匂いを嗅ぎながら過ごす一日にも、つい手を伸ばしたくなる存在になるだろう。

 

コンシール FL 2 レザー ゴアテックス シューズ (メンズ)
税込価格:2万4000円
カラー:2色 
サイズ:25~30、31㎝
重量:395g(27㎝片足)

コンシール FL 2 レザー ゴアテックス シューズ (ウィメンズ)
税込価格:2万3000円
カラー:2色 
サイズ:22~27㎝
重量:345g(24㎝片足)

問合せ先
アークテリクス カスタマーサポートセンター/アメア スポーツ ジャパン
consumerservice-apac-ja@arcteryx.com
arcteryx.jp/

※当記事はROCK&SNOW093の内容を再構成し、掲載しています。