使い分けの意義を再認識させる ブラックダイヤモンドの山岳用ハーネス

文=小川郁代 写真=中村英史

ロープを使うクライマーにとって、ハーネスはとても身近なものだが、「山岳用」などと称される簡易な軽量ハーネスは、同じカテゴリーにありながら、クライミング用とは別の位置づけにある存在だ。

頻繁にフォールすることを前提に、墜落時の衝撃緩和を最大の目的とするクライミングハーネスに対して、山岳用は、バリエーションルートや沢登り、スキーツアーなどの危険箇所で「万が一」の墜落に備えるためのもの。基本的に落ちないことを前提に使うため、墜落時の快適性よりも、軽さや携行性が優先される。

とはいえ、バリエーションルートの安全確保に、クライミング用のハーネスが使えないわけではない。近頃は、クライミングハーネスもかなり軽量化が進み、持ち運びだけを考えれば、両者の差が絶対的だとは言い難い。

しかし、山岳用ハーネスの本質に触れ、進化した現在の姿を知れば、クライミング用では代用できないあまりに大きな存在価値を、あらためて認識することになるだろう。

ブラックダイヤモンドの「クーロワール」は、山岳用の軽量ハーネス。クライミングハーネスのように、最初から輪になったレッグループに足を通して履くのではなく、平らな形状のベルトを股の間から前へ引き出すように着用する、ダイパー(おむつ)タイプと呼ばれるスタイルだ。

スキーやクランポンを履いたまま着脱できるのが大きな特徴だが、メリットはそれだけではない。ハーネスが必要になる場面にありがちな不安定な場所で、一度も片足立ちにならずに、踏ん張った状態で着脱できることは、安全面での意味も大きい。

ウェビングには、ダイニーマなどの商品名でも知られる、超高分子ポリエチレン素材を使用。非常に軽量で強度に優れ、保水性がまったくないため、沢登りで濡れてもすぐに乾き、冬場の凍結で弾力性を失うこともない。

ビレイループを備える形は、クライミング用と同じ感覚で使えて、ビレイや懸垂下降の際にも安心感がある。バックルで素早くフィッティング調整ができ、短時間の使用でも、長時間履き続ける使い方でもストレスがない。

ビレイループに縫い重ねがなく柔らかなので、無理なく手のひらサイズにパッキングが可能。さらに小さくまとめることもできる

レッグループの表裏で色を変えることで、どんな状況でも迷わず装着できるようにしたアイデアは、間違いなく多くの称賛を集めるだろう。緊急時の備えとしてなら、バックルレスでより軽量な「クーロワールUL」を選ぶのもいい。

軽さのために機能や使い勝手を犠牲にすることなく、必要な要素を丁寧に積み上げた結果、わずか135gという軽さと手のひらサイズにすべてを収めた、山岳用軽量ハーネスの完成形。

コストパフォーマンスを見ても、目的に合ったハーネスを、それぞれのシーンで使い分けるメリットを実感するのに、何ひとつ不足はない。

 

クーロワール/ブラックダイヤモンド
税込価格: 8910円 
カラー: 1色
サイズ:XS/S~XXL
重量: 135g(S/M)
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問い合わせ先
ロストアロー 
www.lostarrow.co.jp

※当記事はROCK&SNOW094の内容を再構成し、掲載しています。