最新クライミング用語集(さ行)

 

【さ】

三点支持 両手足を四点として、一点を動かすために、残る三点で体を保持すること。こう書くと大層なことのようだが、慎重に登れば誰でもそうなるので、技術というほどのものではない。現代のクライミングではむしろ、三点支持を無視したほうが結果につながることが多い。「三点確保」ともいう。

ザイル Seil(独) ロープ。昔は、クライミングに使うのはザイルで、ロープとは、今でいう補助ロープを指していた。

 

【し】

地ジャン(俗) ボルダリングで地面からジャンプするスタート方法。ボルダリングには、岩に取り付いた状態から始めるという暗黙のルールがあるので、地ジャンの課題は発表の際にそれを明記すべき。シットスタートの場合、お尻の反動で取り付く場合があり「尻ジャン」「ケツジャン」と呼ばれる。

シットスタート sit  start 「シットダウンスタート」の略。ボルダリングで、低い位置から座ったような状態でスタートすること。スタンディングの状態で取り付く課題にあとから付け加えられることが多く、当然、オリジナルよりハードな課題となる。

ジャグホールド jug  hold ジャグとは「水差し」。これの取っ手のようなガバホールドのこと。

ジャミング jamming クラックの中に手や足を入れて安定させるテクニック。痛いことが多い。

残置 岩に人工的に置かれているものの総称。

シェイク shake(俗) 腕をブラブラさせて筋力を回復させること。

シャンク shank 靴底を硬くするために入れる、硬質プラスチックなどの板。

シュリンゲ Schlinge(独)→スリング

シンハンド thin  hand フィンガーより広く、ハンドより狭いサイズのクラック。コズミックデブリ、スフィンクスクラックなど有名な難しいクラックはこのサイズが多い。

人工登攀 岩以外のものをホールドとすること。つまり、フリークライミングでないこと。単に「人工」ともいう。

人工壁 人工的に造った壁。人工登攀のための壁ではない。「クライミングウォール」とも呼ばれる。

人工ホールド FRP などで自然の岩の感触に似せて造ったもの。人工登攀のためのホールドではない。

 

【す】

スクイーズチムニー squeeze chimney 体がスッポリ入ってしまって身動きが取れないサイズのクラック。正常な神経の人間にとっては不快このうえないのだが、ごくまれに愛好者がいる。

スタティック static 静的な。スタティックなクライミングでは鈴木英貴が有名。

スタティックロープ static  rope 伸びにくいロープ。

スタンス stance 本来の意味は「足の置き方」(ゴルフ、野球などでよく使われている)。「立場」を表す一般用語でもある。最も頻繁に間違って用いられている言葉といえよう。正しくは「フットホールド」。

ステミング stemming 開脚。凹角でよく用いられるフットワーク。「ブリッジング」ともいう。

ストレニュアス strenuous 厳しさが続くこと。「ストレニ」と略して使うこともある。

スポートクライミング sport  climbing 従来のフリークライミングから危険性・冒険性を排除したもの。つまり、ラペルボルトによるルート、人工壁でのクライミングを指す。よく「スポーツ」と間違って使われるが、単数なので「スポート」である。反対語は「トラディショナルクライミング」。

スメアリング smearing スメアは「こすりつける」という意味。主にスラブで用いられる足の置き方。

スラブ slab 主に、傾斜の緩いツルッとした岩。前傾壁中心に登っている最近のクライマーは 90 度以下の壁をすべてスラブと呼び、さげすむ傾向がある。

スリング sling テープやロープを短く切って、ループにしたもの。あらかじめループとして縫い付けられているものを「ソウンスリング」と呼ぶ。

スローパー sloper→外傾ホールド

 

【せ】

正対 体の正面が壁に向いている状態。高難度ルートになるとこの体勢では登れないことが多い。初心者はこの状態のままで登ろうとする傾向があり、いつになってもそれが抜けない場合、「正対クライマー」という不名誉なレッテルが貼られる。

セカンド second  2 番目に登る人。フォロー。主にマルチピッチのルートで使われる言葉。

セルフビレイ self  belay 自分自身を確保すること。主に、取付が平らな地面でない場合や壁の途中において、ロープやスリングでアンカーと本人のハーネスをつなぐこと。

【そ】

ソール sole 靴底。