足首、ちゃんと使えてる?(2)

ストレッチで足首の柔軟性を高めよう

柔軟性を高めるには、日頃の継続的なストレッチが欠かせない。準備運動としてのストレッチも大切だが、運動後や風呂上がりなど、体が十分に温まった状態で少しずつ可動域を広げていくの効果的。早く効果を上げようと強く伸ばしたり、やたらと回数を重ねたりするのは、逆に故障の原因にもなる。「痛気持ちいい」くらいの強さを目安に。簡単なので、地道に毎日続けよう。

最初に、つま先を持って足首を左右に数回回してから行なうといい。それぞれの方向に「伸ばした状態で5秒キープ→緩めて5秒」を1セットとして、左右とも3セットを目安に行なう。

 

足首強化のトレーニングを取り入れよう

柔軟性を高め、可動域を広げると同時に、足首に重心がかかった状態でつま先立ちになるためにはパワーも必要だ。 段差につま先を乗せ、かかとを上下させる動きなら、簡単に日常生活に取り入れることができる。荷物などを左右均等に持った状態で行なえば、より負荷が大きくなって効果的。ふくらはぎのむくみ解消にも効果があるので、気づいたら小まめに行なうようにしたい。

 

こちらは上級編。壁などに手をかけ、しゃがんだ状態から片足を前に出す。
自分の体重で足首に負荷がかかる。バランスや筋力のトレーニングにもなる。

 

 

なぜ足首なのか…

クライミングの本や雑誌の中で、足首について触れられることは多くありません。でも、私の講習会では最初に必ず足首の動きについてお話をしています。

股関節の柔軟性やひざの動き、立ち上がるための脚力など、クライミングのトレーニングにはいろいろありますが、足首のような小さなパーツにはなかなか目が届きません。しかし、クライミングは全身のつながりを使って登るもの。どんなに筋力があり股関節や肩が柔らかくても、たった1カ所、足首が硬いだけで、あなたが持つ力を十分に登りに生かせません。例えば、ひざの動きができているときには、無意識に足首が使えています。でも、足首が使えていないのに、ひざの動きができることはないのです。

筋力が強ければ、柔軟性がなくてもパワーで登れるかもしれません。でも筋トレでパワーをつけるのと同じ効果が、足首の可動域を広げることで得られるなら、とても効率がいいと思いませんか?例えば、高いホールドに足を上げるときや、遠いフットホールドに足を届かせたいとき、足首を伸ばせればとらえやすくなるはずです。簡単なことですが、見落としがちな部分なんです。

私自身、登り込んでいるときは、体重にかかわらず、目に見えて足首が細くなります。それだけ足首を使っているということですね。どんなムーブも足首を使わないものはありません。ぜひ意識して、足首で舵取りするイメージで登ってみてください。

講師=米倉亜貴 写真=山本浩明 構成・文=小川郁代 取材協力=T-WALL大岡山店