クライミングジムのスタッフってどんな仕事？ジムスタッフの仕事とは

コンペの運営、ホールド替えや、それに伴うルートセットなど、SNSなどで目にするのは華やかなクライミングジムの仕事が多いですが、それらも現場での日常業務のうえに成り立っています。「わざわざお客さんには言わないけれど、クライミングジムにとって欠かすことのできないスタッフの日々の仕事」についてご紹介します。

掃除

お客さまを受け入れる施設として、日々行なわれる必要不可欠な仕事です。エントランスからはじまり、受付・更衣室・お手洗い・休憩スペースなどのジム内部から、駐車場や建物周辺のゴミ拾いまで、施設の規模や建物によってかかる手間はさまざまですが、お客さまのいない開店前、閉店後に時間をとって行なう大切な業務のひとつです。

クライミングジムとして特徴的なのは、ウォールやマットの掃除。チョークによる粉塵と日々戦うこととなります。

受付業務

お客さまとはじめて接する機会となるのが受付であり、ジムの顔と呼べる仕事です。会計、案内、レンタル品の貸し出し。また、電話での問い合わせ対応や講習の予約、宅配物の受け取りまで多岐にわたります。

なかでも見学者や未経験者の案内は、担当者の応対によって、その後の来店の有無にかかわる大事なところ。料金体系を伝えて施設を案内するだけではなく、クライミングがアウトドアにまで広がる行為であることや歴史などの知識について、自身のクライミング経験をもとにお客さまに合わせて話ができると、クライミングにより強い興味を持っていただけるでしょう。

事務作業

ホームページ、ブログ、SNSの更新や、それらに関連する写真撮影などはイメージしやすいかもしれません。ほかにもイベントなどの告知用ポスターやPOPの作成、それらをどこに掲示すればお客様に情報が届くのか、思考錯誤することも仕事といえます。自分たちで会員カードやスタンプカードを作っているジムもあるでしょう。

また、店長となるとスタッフのシフト調整管理。物販を行なっていれば、展示会回り、メーカー・代理店とのやり取りや商品在庫の確認・発注もあります。いずれもパソコンで行なう業務が多く、一般企業の事務職とかわらず、書類作成や、エクセルの知識に加え、画像や動画編集のスキルがあると重宝されます。

講習

形態はさまざまですが、多くのジムで講習が行なわれています。ジムでの登り方を5～10分程で教えることを講習に含めるかは難しいところですが、インストラクターとして、お客さまと接するのもジムスタッフの仕事のひとつとなります。

特に未経験者向けのインストラクションは、それがお客さまにとって一生に一度のクライミングの機会となる場合もあります。個々の事情でクライミングを継続してもらえなかったとしても、そのときの経験・体験がポジティブなものとなるか否かは、その機会にしかありません。実に責任のある業務だと思います。

クライミングの専門的な技術、知識が要求される講習、たとえばロープを使ったクライミングでの確保技術や、リードクライミングを行なう方法、そしてスキルアップのためのアドバイスなどは、スタッフであれば誰でもできるという訳ではありません。

メンテナンス

主にクライミングウォール・課題のメンテナンスとして、課題テープの貼り直し・書き直しや、ホールドを固定しているボルトの増し締めなどがあります。また、ホールド替えも広義の解釈としては、メンテナンス業務のひとつです。全面ホールド替えとなれば、ジムを数日休業し、セッターを招いてセットを行なうこともあります。

ルートクライミングの壁があれば、アンカー（支点や終了点）に使われるハンガーやカラビナ、クイックドローのチェック。トップロープクライミングで使われるロープのチェックなど、安全につながるメンテナンスは絶対に怠ってはいけないところ。設備の不備によって、怪我をさせてしまうことは絶対に避けなければなりません。

また、休憩スペースのベンチやテーブル、荷物棚から下駄箱・ロッカーなど、クライミングに直接かかわらない設備のメンテナンスも定期的に行ないます。

以上、ジムのスタッフが日々行なっている代表的な仕事を挙げてみました。技術的な能力や知識が必要なこともありますが、いずれの業務でも「コミュニケーション能力」が大事なのは、ほかの業種と変わりません。どんなに登れるスタッフでも、言葉づかいがよくなかったり、愛想がなければお客さんは距離を置いてしまいますし、スタッフ同士の連携も上手くはいきません。

クライミングジムで働いてみたいと少しでも考えている方は、「自分には難しいグレードのクライミングが出来ないからチョット・・・」などとは思わずに、チャンスに巡り合ったらぜひ、飛び込んでみてください。

※本記事は2017.07.26に掲載されたものです。