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ラジオ番組その後【白馬岳~日本海ツアースキーについて】
12月20日放送のTOKYO FM「ピートの不思議なガレージ」(第90話_バックカントリースキー)を聞かれた方から、「白馬岳から日本海のスキーツアーってどんな感じ?」というお問い合わせをいただきましたので、ここに概略を紹介しておきます。
白馬岳山頂2932mから海抜0メートルの親不知に抜けるコースは、アルプスと海をつなぐユニークな縦走路として無雪期には一般登山者にも親しまれています。このルートを初めてスキーで滑り下りたのは、今から約30年前の5月連休のことでした。登山靴にオンボロの山スキーを履いて大雪渓から白馬岳に登り、雪倉岳、朝日岳を越えて山中2泊で親不知の海岸にゴールしています。実際には標高500m付近で雪は消えてしまい、また、黒岩山〜犬ヶ岳間の稜線は雪庇にガードされたヤセ尾根となっていたために全行程をスキー滑降というわけにはいきませんでしたが、朝日岳や雪倉岳、長栂山の北斜面などでは、背中の重荷をまったく気にすることなく快適に滑り降りた記憶が残っています。
その後、テレマークスキーと出会い、「こいつを使えば山中1泊で抜けられる」と思って再トレースしたときの写真がこちらになります。細い板に革靴で、じつに昭和の香りたっぷりの装備ですね。実際、つま先だけを固定するスリーピンビンディングの軽さと相まって、登りの軽快さは今のデブ板の比ではありませんでした。
当時、私はスキー雑誌「skier」の編集部員で、テレマークスキーを世の中に紹介したばかり。このころのテレマークスキーは「クロスカントリー・ダウンヒル」という名前のもとに、感覚的には「エッジのついたクロカンスキーで斜面を下る」という、近代テレマーク創生期のスタイルだったわけです。
結局、2度目のツアーは朝日岳の登りで暴風雨につかまってしまい、前回同様に山中2泊をかけて親不知海岸まで下ったのですが、テレマークスキーの戦闘能力の高さをあらためて認識した山行となりました。
パウダースノーの深雪滑降もバックカントリースキーの大きな魅力ではありますが、残雪を利用したツアースキーもまた、バックカントリーの楽しみのひとつといえるでしょう。今年の冬はどうやら豊雪のようです。これからの季節、「ROCK」だけでなく「SNOW」の世界もぜひ、お楽しみください。
(『ROCK&SNOW』編集長 萩原浩司)
大雪渓を登る。細板だからスイスイと
ときどき滑ったりもして余裕の登高
This is 昭和テレマーカー(白馬岳山頂にて。左が筆者)
犬ヶ岳頂上付近を滑る
(背景に見えるのは長栂山や朝日岳など、滑り降りてきた山々)