村井隆一、鳳来の”エピタフ(五段+/V15)”を再登

3月29日、村井隆一が鳳来の”エピタフ”を第2登した。2009年に小山田大が初登した実質8手の課題。その短さから小山田自身がグレードは暫定的なのものとしていた。

文=村井隆一

8日間のトライの末に完登できました。これまで登ってきた同グレードの課題と比較すると、それらの倍以上の時間”エピタフ”と向き合っていたことになります。もちろん1手1手の強度が高かったということもありますが、鳳来の岩場の性質にも要因があったと感じます。

鳳来の岩は欠けやすく、また岩の上に土が堆積しているため雨が降るとなかなか乾かず、コンディションの悪いなかでのトライが多くありました。”エピタフ”も自分がトライしている間に何回も欠けました。使っていたフットホールドや中継ホールドが欠けて無くなってしまったことも。さらに、上部でフットホールドが突然欠けて親指からフォールし捻挫もありました。それゆえムーブの組み立てには非常に苦労しました。

また、”エピタフ”は「ミジカシイ」課題として知られているものの、繋げ段階で最も多くの時間を費やしました。特に、下から繋げてくると上部のデッドムーブでは重心が下がってしまい距離を出すのがとても難しく感じました。また中間部の棚にヒールするムーブは右手を悪いカチから飛ばす際に、踵がブレてしまうため、なかなか体勢が安定しませんでした。そこでシューズをキツめのレースに変えてみたところ、ヒールのフィット感が増し、棚に乗り込むような感覚で安定性を向上させることができました。最後のマントルはそれほど難しくはないものの、かなりの高さがあり全く気が抜けませんでした。

自分がこれまで登ったミジカシイ高難度課題には”クダマ(V14)”、”暗黒丸(V13/14)“、”ユミル(V13/14)“などがありますが、それらと比較すると”エピタフ”は2グレードくらい難しく感じました。1手1手の強度の高さに加え、繋げの困難さを考慮すると「V15」が妥当ではないかと思います。

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