スコットランド冬季登攀:Bring Da Ruckus(XII 13)初登

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訳=羽鎌田学

グレッグ・ボスウェル、ジェイミー・スケルトン、ヘイミッシュ・フローストの3人が、英国スコットランド、アバディーンシャー州にある岩場ロッホナガーのシャドウ・バットレスで、2ピッチからなるルート、Bring Da Ruckusを初登し、そのグレードをスコティッシュ・ウインター・グレードでXII 13とした。

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このルートは、特に1ピッチ目の巨大なルーフが以前からグレッグ・ボスウェルの目を捉えていたもので、今回同行したジェイミー・スケルトンとヘイミッシュ・フローストの励ましもあって、グレッグはトライを決意。ルーフを抜けるまでは数度のトライ、その後はオンサイト状態で核心となる1ピッチ目を登り切ることができたのである。なお、2ピッチ目のトップは、ジェイミー・スケルトンが務めた。

グレッグは、次のように語っている。

「昨日、私はジェイミー・スケルトンとヘイミッシュ・フローストの2人と一緒に何の具体的な計画もなくロッホナガーに足を踏み入れていた。そして、コルに着いてコーリーの山腹を眺めたとき、壁の状態はなかなか良さそうで、かなり面白いクライミングができるチャンスだと即座に判断した。私は周囲からの圧力には簡単に屈しないと言いたいところだが、シャドウ・バットレスの取付きに着いた時、今シーズンは頭上のモンスタールーフに挑戦するつもりだったと言葉にすると、2人は私をけしかけ、ついに私自身、試しにやってみるかという気になってしまったのだった」

「手短に言うと、スコットランドでは経験したことのない難しさの幾つかのムーブと巨大なルーフとの2度の全力バトルの後、結局その日の3度目のトライでルーフを抜け出しヘッドウォールに躍り出た。しかし意外にも依然クライミングの厳しさは和らぐこともなく、最後のムーブを含めて骨の折れる戦いが続き、私はほとんど落ちそうになっていた。耐えろ!もうひと踏ん張りだ、と自分にムチ打たなければならなかった」

「この難易度のルートを、上に何があるのか全く知らずに登ったのは、最高だった。グランドアップで登り、まさに手探りで当てにならない脆いエッジにピックを効かせてルーフを派手なスイングに耐えて抜けながら、かつ上で何が待ち構えているのか全くわからないというのは、真にメンタル的な戦いだった。1ピッチ目をフォローするジェイミーとヘイミッシュをビレイしている時、私たちの両脇ではコーリーの斜面を流れ落ちる雪崩の音が聞こえていた」

「賢明なルート選択のおかげで私たちがいた場所は安全だった。しかしながら、ジェイミーが2ピッチ目を登り始めた時には陽光も一気に弱まり、暗闇の中で遠くのガリーを流れ落ちる雪崩の轟音を耳にするのは、実に不気味であった。無事にデポしたザックのところに戻ると、腕は疲れ切っていたが、みんなの顔には満面の笑みが浮かんでいた。最高の冒険だった!」

「このルートは、そのストレニュアスさと先に何があるかわからないまま進む核心となるパワフルなルーフの存在により、私がスコットランドで登った他のどの高難度ルートよりも困難であった。ただ、実際は参照すべき高難度ルートも本数が少なく、すべてクライマーの個人的な経験に依存し、またクライマーがルートに取り組むスタイルがそのグレーディングに大きな影響を与える以上、スコットランドのミックス・クライミングの世界で登られた高難度ルートのグレーディングについては、まだまだ議論の余地がある。私が好むグレーディング方法は、グランドアップやオンサイトトライによるものではある。他のクライマーたちがこれらのルートを再登してグレードが確定するまでは、すべてが推定にしか過ぎない。今回初登したルート、Bring da Ruckusと命名し、スコティッシュ・ウインター・グレードでXII 13としておく」

※スコティッシュ・ウィンター・グレードについてはこちらのIce and mixed climbinngの項参照。XII 13はおそらく最難と思われる。

https://en.wikipedia.org/wiki/Grade_(climbing)#Adjectival_grade

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