デイブ・グレアム、スイス・バヴォーナ渓谷でCelestite(8C+/V16)初登

desnivel.com
訳=羽鎌田学

ベテランボルダラー、デイブ・グレアムは、3月末にはスイスで今シーズンのメインプロジェクトを達成していたことを最近発表した。

クラシックは死なない。これは、文学、美術、音楽、映画などの芸術の世界でしばしば使われる表現だが、なぜかクライミングの世界でも通用するようだ。その意味で、3月28日は、クライミング界の古典的人物たちを主人公とする重要な日として暦に刻まれるべきだろう。

その日、クリス・シャーマが41歳でスペイン、シウラナでSleeping Lion(9b+/5.15c)の初登に成功。そして今、彼の友人でもあるデイブ・グレアムが、バヴォーナ渓谷のボルダー課題、Celestite(8C+/V16)を、奇しくも同じ日に、やはり41歳で解決していたことが分かったのである。クラシックは決して死なないのである。

 
 
 
 
 
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予想外に短期間での成功

この磨かれた岩のオーバーハングは、ティチーノのバヴォーナ渓谷でデイブ・グレアムが今季のプロジェクトとして設定した課題で、同地で、昨年には、別の課題Euclaseを登り、8C+としていた。「3月末に登った課題は誰の目にも明らかなラインで、以前にもトライされていましたが、みんな真っ向から何とかしようとしていました」と、デイブはコメントする。ただし、彼自身は異なる角度からのアプローチでこの課題に取り組んだのだ。「あの岩のレリーフに対する私の新たな視点と、私が近年かなり磨きをかけてきた技、ニーを使った解決策のおかげで、新しいアイデアがたくさん生まれたのです」と、付け加える。

最初の数日は、適切なシーケンスを見つけるのに費やしたが、いささか意気消沈させられる結果ではあった。「フットホールドは、まったく当てにならないような恐ろしい代物でした。また、スローモーションのような動きのスタイルは、今まで試みたことのある他のすべてのスタイルとは大きく異なっていました」。しかしながら、その後の進展は急速だった。予想よりも速いペースで事は進んでいった。「私が見つけ出した方法は効果絶大でした。かなり短期間で独立した2つの主要なセクションを繋げるトライを始めることができました」

彼にとって、Celestiteは、気が抜けない8A+から、さらに緊張感のある8B+に繋げる課題だった。フォール想定地点を整備し、ハイボールとなる岩の上部を掃除するや否や、大した期待もせずにスタート地点からのリンクトライ開始。デイブは次のように説明する。「このスタイルのクライミングは忍耐力、バランス、そしてレーザーのような正確な集中力を必要とし、そしてそれらすべての条件を揃えることがとても難しいのです。ただハードにトライしていればいいというわけではないのです」

とは言え、困難ではあったものの、結果が出るまでに時間はかからなかった。わずか3セッションのスタートからのリンクトライで、彼はボルダーのトップに立っていたのである。

グレードへの疑念と新たな目標

数多くの高難度課題の達成までの長いプロセスを常としていたデイブ・グレアムが今回最初に感じたことは、このラインの難しさについての疑問だった。「自分がこのレベルの課題をこれほど短期間で落とすことができるのだろうか?」と、彼は自問自答したのであった。「もし完登まで後10日間のトライが必要だったとしたら、自分が考えたグレードに何の疑問も持たなかったでしょう。まあ、私は自分にそれだけの強みや能力があるのだろうかと疑ってしまうことも、よくあるので…」

しかしながら、最終的には疑いを捨て、やはり8C+とした。「これまで登ってきたラインと比較すると、私がより簡単な方法を見落としていない限り、8C+のレベルに属する課題のように感じたのです」

デイブは、Celestiteに成功すると即座に、来冬のバヴォーナ渓谷の目標に照準を合わせていた。それはCelestiteの出口をより右に取るバリエーションで、そのパートだけで8Bほどの舳先状のより高度感のあるハイボールを追加したラインである。

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