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最新シューズを全てテスト&レビュー!Climbing Shoes 2021④
写真=山本浩明
「ROCK&SNOW」恒例の人気企画がクライミングネットに登場! 3人のテスターが最新シューズをテスト&レビューします。今回、5つ星を獲得するのは果たしてどのシューズ?
※各ポイント別の総合評価を■で、シューズに対する各テスターごとの総合評価を★で採点。いずれも5つで最高点となります。当記事は「ROCK&SNOW093」の記事を一部編集し、掲載しています
④Mad Rock/SIMOND 編
Mad Rock REMORA HV
山崎 ★★★★☆
幅広で薄型が特徴のレモラがHV(ハイボリューム)化して登場。今では希少な存在になったスリッパタイプ。そんななか、個人的には隠れた名シューズだと思っているレモラがHV化し、「薄型が特徴なのに?」と思ったが、予想よりも大きく変わっていないようだ。少し包まれる感じが増したかな、という程度。
非常にシンプルな構造ながら、バランスがとてもいい。適度なコシがあり、エッジングもスメアリングもとてもしやすく、大変優秀なシューズなのだが、問題は今回もやっぱりヒール。側面の剛性が低く圧力負けしやすく、ソールもカラーラバーも変わらず。そのため、サイズ選びはシビア。購入の際は絶対に店頭で足を通して、サイズをぴったり合わせたものを選んでほしい。
稲葉 ★★★☆☆
かかとの角度が浅く、スリングショットのテンションのかかり具合が、黒モデルと比べると少し弱く感じた。これにより、全体的なフィット感もいささかダウン。ただ、やはり使いやすく快適に履けるシューズであることは確かで、爪先の構造がシンプルゆえに、インからアウトサイドまで満遍なく使えて操作性がいい。
また、黒モデルにもいえることではあるが、柔軟性とトウラバーの良好なフリクション、そしてストレートなトウラバーの形状ゆえにフットジャム性能が非常に高いのも特筆すべきところだ。軽く軽快に自由に使える完成度の高いスリッパモデルであり、使い手によっては非常に武器になるだろう。
荒川 ★★★★☆
非常にシンプルな構成で「これぞスリップオン」といった印象。シューズをアッパー部側から見ると幅広に思えるのだが、底面から見れば足に対して自然なシェイプであることがわかる。当然、レースシステムや面ファスナーシステムなどはないのでフィッティングを高めるため、非常に低いアッパーが採用されている。
また、セパレートタイプのソールは他メーカーの同タイプに比べると面積が広く、ソール部と後半部の段差が極めて少ないのでワンパーツに近いのだが、そこはセパレート。動きに対して懐深く追従している。ヒール部分もラバーパーツに適度な剛性感があり、カップ形状も深めに取られているので収まりがいい。トータルでクセがなく、最も素足に近いシューズではないかと感じている。
Mad Rock REMORA HV Tokyo Edi.
山崎 ★★★★☆
レモラHVの東京五輪記念モデルということで、ブラック一色にゴールドのロゴでシャープな印象に変わっている。輸入代理店によるとレモラHVのカラー違いだけらしいのだが、履いた感じが明らかに違う。同サイズのレモラと比べて、ハーフサイズ小さいような体感。それだけでなく、ヒールまわりの剛性もアップしており、ソールも通常の黒ラバーに変更されている。
個人的に改善してほしい点がかなり改善されている印象で、とてもよかった。個体差かと思ったが、たまたま東京エディションを使用している知人も同様の印象をもっていたので、単なるカラー変更だけではないのかもしれない。こちらも、購入の際は店頭で合うものを選んでほしい。
稲葉 ★★★★☆
従来のレモラとは明らかに違う靴。まず、セパレートソールが採用されていることにより、靴の柔らかさが生き、足使いの自由度がとても高い。特にトウフックは、フリクションがよく、広めに張られたラバーと柔軟性とが相まって、さまざまなシチュエーションで抜群にフィットする。ヒールフックはスリッパタイプの弱点になりがちであるが、ヒールカップが深くスリングショットが強いので、脱げや力逃げを防いで安定している。
また、剛性が高いため、足のフィット具合にかかわらずヒール負けしない。スリングショットはフィット感向上にも一役買っている。足入れが快適だということも、根本的に靴として優れている部分だ。履いていて非常に楽しかった。
荒川 ★★★★☆
ブラックの本体にゴールドのロゴが印象的。パーツの構成、シェイプなど通常版との違いを探したが、残念ながら私にはわからなかった。ただ個体差なのか、私にはこのモデルのほうが、サイズが若干小さい気がする。
“Tokyo”のラベルもテストモデルには付いていないので、もしかするとプロトタイプかもしれない。個人的には、あくまでもレモラの別ジャケットモデルと感じた。デザイン的にも限定足数という点にも、コレクター心を非常にくすぐられる。
Mad Rock Redline Strap
山崎 ★★★★★
フューリア系コンペシューズ。ソールは非常に柔軟で足裏感覚は抜群。それでいて土踏まず部分の拘束力が高く、エッジング時にはしっかりとコシが出る。オリジナルソールとのバランスがすばらしく、ホールドのボルト穴にも絶妙にラバーが変形してエッジングできてしまうほど。しかもそのエッジングしている感触がはっきりわかるところが、ほかのシューズとは一味違う。
立体成型のちょんまげヒールは、特に薄いエッジなど形状が合うものには、まさに「エッジング」する。ちょっと反則レベル。難点は、ドローンほどではないがとても細身なので、足が合わないとかなり履きにくくなってしまうところか。
稲葉 ★★★★☆
見るからに気合いの入った、丁寧な仕上がり。ノーシャンクということで、足裏感覚がよく、ホールドを細やかにしっかりと感じられる。先端が細く尖っていて、実際の爪先の位置と靴のスイートスポットに誤差があり、そこは改善点かと思う。ある程度コシがあるので、エッジングはしっかり行なえるし、スメアももちろん良好だ。トウラバーの形状がすばらしく、表面のテクスチャーがよく効くので、トウフックは扱いやすい。
剛性のあるヒールはマッドロックらしく段差のあるものになっていて、ややクセがあるものの、この段差をエッジに引っかけたりと独特の使い方ができる。また、かかとを広く覆って力逃げを防いでいる上、爪先へ足を押し込む役割もあり、フィット感向上に役立っている。クセはあるが、すべてにおいて優秀な一足。
荒川 ★★★☆☆
レモラと比べると細身のシェイプをまとった一本締めモデル。同じメーカーが作ったとは思えないほど対照的なデザインでもある。細身のシェイプながらアッパー部分のボリュームは適度であり、さまざまな足の形に対応できる容積のキャパシティは確保されている。
アッパー部のラバーパーツの剛性感が高く、フィッティングを高めると同時に、シューズ全体の剛性も高めている。ただしシューズはどちらかといえば柔らかめである。ヒール部のラバーパーツはマッドロックならではという凝った形状で、メーカーのオリジナリティが保たれている。ヒールカップが深めで収まりもいいと思う。
SIMOND ROCK+
山崎 ★★★☆☆
フランスの大手スポーツ量販店デカトロンと共同で開発したという初心者向けシューズで、デカトロン専売のようだ。ベロやヒールのフォーム素材の肌触りがよく、EBのネビュラとはまた違った快適さで大変履きやすい。しかも初心者向けには珍しく、ソールにはビブラムのXSグリップを使っている。
ミッドソールが入っているものの、ダウントウもついていないのでエッジング自体は普通だが、初心者には充分。とにかく他を圧倒するコストパフォーマンスが魅力だ。9000円を切る価格でありながら、これだけのものを作るのはすごい。
稲葉 ★★★☆☆
エントリー向けのとても快適なシューズ。足入れは快適で、ライニングと、ふわふわの甲の生地が心地いい。ヒールカップはなぜか四角くて、ちょっと使いづらい。この価格でソールにXS GRIPが採用されている点はすばらしく、ベタ踏みでも滑らない。
ジムのレンタルシューズに採用されていることが多いゴムシューズとは比べものにならない本物のフリクションがあり、低価格なので、初めての一足に、あるいはセカンドシューズとして使用してみてはいかがだろうか。
荒川 ★★★☆☆
非常にオーソドックスなエントリーシューズ。ソールはセパレートながらも非常に高い剛性感をもっている。爪先から1本目の面ファスナーまでの距離が長めで、かなりリラックスした足入れが期待できる。履き口の襟にスニーカーのようなクッションが設けられていてフィッティングをサポートしている。
また、タンには厚めのクッション性のあるパーツを採用。ビギナーでもリラックスしたサイズでの使用が可能であろう。履き心地がいいわりに、シューズ全体のボリュームはスリムで性能に遜色ない。
▶︎商品情報
Mad Rock/サンダンスアウトドアーズ sundanceoutdoors.jp
SIMOND/デカトロンジャパン decathlon.co.jp