初心者にこそすすめたい アークテリクスの クライミングハーネス
小川郁代=文
ビギナーにとってハーネスは、何を基準に選んだらいいかがわかりにくい道具の代表だろう。日ごろ使う機会がないだけに、見た目や試着では、違いがよくわからないのも無理はない。しかし、最初にどんなハーネスを選ぶかが、これから先のクライミングに少なからずの影響を与えることを、頭に置いておくといい。
アパレルやバックパックのブランドという印象があるが、 アークテリクスの原点はハーネス。創業以来30年以上にわたり、ハーネスのトップブランドとして、多くのクライマ ーの絶大な信頼を受け続けている。その理由は、ぶら下が りやフォールで体が受ける、痛みや衝撃が少ないこと。一本の細いベルトの幅を自在に広げる特殊な技術により、ウエストベルトに繋ぎ目が生じないため、圧力が全体に分散されて、ハンモックのようにふわりと体を受けとめる。長時間のビレイが日常的なガイドや、限界に挑む上級者など、 「違いのわかる」クライマーを虜にする理由だ。
その技術を惜しみなく投入したのが「スカハハーネス」。 ロッククライミングのあらゆるシーンをこれ一つでカバーする、高機能オールラウンダーだ。軽くしなやかな細身のベルトは、軽量なメッシュ素材で通気性が高く、汗やムレのストレスなく長時間快適に使用できる。優れたフィット感がありながら、体にあたる部分に凹凸がないので、締め付けや違和感、動きを妨げるストレスもない。
繊細な製造工程は、すべて熟練の職人の手作業で行なわれるため、他のブランドと比較すると、頭ひとつ抜け出た ように価格が高い。年に1、2度使う程度なら、もっと安く手に入るものを選ぶのがいい。しかし、今後も長くクライミングを続けていくのなら、最初からいいものを使うという選択を迷う必要はない。
シューズと違ってハーネスは、技 術や経験で適正モデルが変わることはない。初心者こそ、痛みや恐怖心からフリーになれる、質のいいものを使う意味 は大きい。経験を重ねより難しい課題の挑戦するようになれば、大きなフォールや、長時間ぶら下がってムーブを探ることも増えるだろう。頻繁に買い替えるものではないからこそ、最初にこのハーネスを選んだ自分にいつか感謝する日が来るはずだ
スカハ ハーネス
価格: 2万9700円
カラー: 1色
問い合わせ先: アークテリクスカスタマーサービス センター/アメアスポーツジャパン
arcteryx.jp
arcteryx.jp/pages/s24-skaha-harness
*当記事は、スポーツクライミングの観戦や始め方などが詳しく紹介されているクライミングビギナー向けムック「2024パリ五輪スポーツクライミング観戦ガイド #CLIMBING」の内容を一部編集・再掲載しています。