平山ユージ、Daydream 5.14b 第4登

文=平山ユージ 写真=前田雅章

20日ほどのトライの末、山梨のDaydreamを2024年2月19日第4登(小峰直城、浦野誠動、中嶋渉に続き)に成功することができた。一本目のボルトは使わず全てのプロテクションを登りながら決めての完登で、難易度は2009年に完登したCobra Crack 同様の難しさで、Marsより難しいと感じていて体感的には5.14bではないかと思う。

Daydreamは僕がクライミングを始めてまもない1984年の秋、当時のトップクライマー(故檜谷清さんや池田功さん)が果敢にチャレンジしていた光景を目にしていたが、その後に故吉田和正さんなど様々なクライマーが長きにわたりチャレンジしてきたプロジェクトでもあった。2020年1月19日、ついに小峰直城が初登に成功し、歴史的な一本が完成した。そして二子山のPeaceful Mountain 9aを成功した直後の2022年3月24日、僕は初めてDaydreamに指を捻じ込む機会を得た。

Daydreamの内容は、下地の悪い高さ5m、3級ほどのハイボールがアプローチ的にあり、そこからプロテクションを固め取りしてから5手、4mのシビアなジャミングが続く二段、さらにプロテクションを一つ決めてサイドプル、アンダーを総合的に組み合わせた10手、5mの少しランナウトを強いられる二段のボルダーと2つの二段のボルダーパートが核心となっている。その後また一つプロテクションを決め3mほどの易しいクライミングをこなし終了点となる。それら全てを合わせると16〜7mのルートとして構成されている。

Daydreamを攻める上でフィジカルやテクニックだけではなく岩のコンディションや指皮との駆け引き、またトラッド特有のリスクとの兼ね合いもあり時間をかけ少しずつ攻めた。とは言え春になると岩のコンディションが悪くなることを予想し、2月末までに決着をつけたいとの思いでこの日は雨混じりの天気で完登トライを決行した。天気の崩れや曇り空はフットホールドが見やすかったり、極端な暑さは軽減されたが、湿度は高く滑る感覚はかなり強かった。とは言え時間をかけトライを重ねた成果がしっかりと重なり形となって2シーズン、20日ほどのトライの末、この日最初の本気トライで成功することができた。

指皮、岩のコンディションとの兼ね合いは厳しいクライミングにはつきものだが、共にチャレンジしてくれた大西良治を始め沢山のクライマーに支えられ繋がった一本で、クライミングを始めた頃、トップクライマーのチャレンジを見学するため15歳の自分をあの場所に連れて行ってくれた方々、そして様々な形で多くの方々から最近になっても刺激を頂き、Daydreamに出会ってから40年の時を経て55歳になる数日前に登れたことも大きな喜びとなり多くの方々に感謝をお伝えしたい。また、この成功が一つの励みとなり自分の年齢に合ったクライミングを今後も追求できればと考えている。

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