目指すのは課題のwikipedia!?インスタグラムで話題のOnlineObservationとは

Webサイト上で3Dスキャンされた課題の閲覧をすることができるOnlineObservation。インスタグラムの公式アカウントでは1200人を超えるフォロワーを擁し、海外からのアクセスも多く、国内外で話題を呼んでいる。

OnlineObservationとは 

Webサイト上で3Dスキャンされた課題を閲覧することができ、クライマーが過去の課題を閲覧することはもちろん、セットを学ぶ人達の課題ライブラリとしての利用も可能となっている。

また、手元のスマホで壁を確認することができる特性を活かし、TV中継などの放映時や、観客席や解説席などで距離や角度が悪い環境でのオブザベをすることができるツールとしての活用も進んでいる。

ADIDAS ROCKSTARS TOKYO 2017 SuperFinal Men Tomoa Narasaki from Online Observation on Vimeo.

サイトではフォトグラメトリーという技術を用い、さまざまな角度から撮影された課題を3D化し、web上にアーカイブしている。

3Dの課題を見て、真っ先に思いつくのがやはりコンペシーンでの活用だ。大会では観客席と壁との距離が遠くなってしまい、課題の確認に双眼鏡を使用することも多い。正面からでは、壁の傾斜も見えづらく、観客には課題の真の姿が伝わりづらい。手元のスマートフォンやパソコン上から様々なアングルで課題を確認することができれば、観客席にいながら選手が取り組んでいる課題をより実際に近い形で見ることができる。

また、現在はボルダリングの課題に限定されているが、リードでの活用にも期待したい。壁の高さが数10メートルに及ぶリードでは、双眼鏡を使用しても確認が困難なケースが多々ある。web上で壁と課題を再現できれば、高さに関わらず正確なオブザベーションが可能となる。

代表の筒井氏によると、ドローン等の空撮技術を使用することで理論上はリード競技での活用も可能とのこと。ワールドカップなど、コンペの課題をリアルタイムにスマホで確認できるようになる日も近いかもしれない。

ユーザー投稿機能も使いやすくリニューアル

サイトの正式オープンに伴い、ユーザーによる課題の投稿機能も使いやすくリニューアルされた。3Dの完成動画を見ると、投稿にも手間がかかるように思われるが、実際はスマホ1台で手軽に投稿が可能となっている。課題を複数アングルから撮影し、完登動画を撮影した後は、運営事務局に送るだけで動画が出来上がる。完成した動画は投稿した本人にもデータとして送られ、自身のSNSにアップするなど、自由に使うことが可能だ。

課題投稿の詳細はこちら→https://onlineobservation.com/howto

さまざまな人たちのためのOnlineObservation

for クライマー

「どうすれば強くなれるのか?」誰しもが抱くこの疑問について、課題と完登動画を見ることによってムーブを解明。自分に足りないもの、できないことを理解し、技術の向上をサポート。

for クライミングジム

オンライン上で課題を広く告知し、「面白そうな課題があるからこのジムに行ってみたい」というような利用客が訪問するまでの流れをサポート。

forルートセッター

課題ライブラリとしての活用。「流行りのジムはどんな課題をやっているのか?」という世界各地にいるセットを学ぶ人たちの疑問に回答。

for 大会主催者

家で観戦する人たち、2階席や角度が悪い観客席などで観戦するひとたちには、手元で課題がわかるツールとして利用可能。解説&観察したい箇所をズームし、固定した状態で観戦も可能。

セッター、ジムオーナーには唯一無二のツールとなるか

上記のようにOnlineObservationはさまざまな立場からの利用シーンが想定されるが、ルートセッター、クライミングジムオーナーにとっての利用シーンにも注目したい。

課題はホールド間の数cmの距離、わずかな角度の違いだけでも、大きく難易度が変わってしまう。写真や単純な動画では、課題の絶妙な距離感や細部まで把握することは難しい。コンペの決勝課題など、第一線のルートセッターが設定した課題を正確に見ることができるのは、VR動画ならではといえる。セットを学ぶ際には非常に参考になるだろう。

クライミングジムのオーナー、スタッフにとっては、ジムの課題の宣伝ツールとしてだけではなく、ホールドを購入する際の参考としての活用も考えられるだろう。事前にホールドを壁に設置したときのサイズ感をVR視点で確認することができるため、現物とイメージとのギャップを埋めることが可能だ。

サイト運営への想い

代表=筒井真佐人

「クラミングキャリアも浅く、いきなり飛び込んだこの世界で何もわかっていない若輩者ではありますが、競技会で活躍する日本選手のように、クライミング業界としても世界一の国だと評されるよう、このシーンを盛り上げていければと思っています。今後、クライミングの認知度・競技人口の拡大に伴い、様々な問題が生まれ直面していく事になると推測をしていますが、その問題を解決するための道具の一つになれることを願っています。」

アーケ株式会社

インタラクティブ・リアルタイムに制御される映像・照明による空間演出を中心に、広告イベント・商業施設・CM・舞台など様々な場所で活躍するクリエイティブスタジオ。

インタラクティブ映像演出、マルチモニタ映像演出、LED照明演出などのシステム設計 / 開発を得意とし、黎明期より常に最前線で活躍してきた経験を活かし、コンサルティング・アドバイザー業務などを行なっている。

http://arque.jp/

OnlineObservationhttps://onlineobservation.com/ 

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