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ヘイドゥン・ジェイミソン、ジェイコブ・クック、ウィル・シャープ、 チリ・コチャモー渓谷でセロ・カピクーア西壁の Picaflor「ハチドリ」フリー化達成
desnivel.com
訳=羽鎌田 学
写真=Ian Dzilenski
3月上旬、ヘイドゥン・ジェイミソン(米)は、ジェイコブ・クック(英)とウィル・シャープ(米)をパートナーに、セロ・カピクーア西壁のPicaflor(1050m、5.13+)をフリーで初登し、2017年から心に描いていた夢を遂に叶えた。
彼らは初登までに、密林での1ヵ月の準備と、壁での7日間のトライを要した。最難ピッチグレードは5.13+(8a+前後)。そして、帰りの飛行機に乗ろうと準備する傍ら、「ルートの終了点にクリップしてからもう2週間経ったけど、夢を見ているんじゃあないかと、まだ自分をつねってみる時があるよ」と、彼は自身のSNSでコメントした。
長年にわたるプロセス
Picaflorは、2016年2月にイギリス人クライマー、トム・アイルソンを筆頭に、マルティン・ホーショルド・ラーセン、クレア・メインズ、バリー・スミス、フェルナンド・ヴィロらの手によって誕生した。このルートは、先ずは既存のA Tirar a la Rarita(1000m、VI 5.12a A3)の下部9ピッチ(最難ピッチグレード5.10d)、400mほどをカタルーニャ広場と呼ばれる顕著な木の生えたバンドまで登り、その後はA Tirar a la Raritaの左にそれと並行する新たなラインを見いだし開拓したものであった。
トムらの記録によれば、16の新しいピッチのうち15でエイドを用いている。グレードは最難でA2+/A3だが、彼らが設置したボルトを使えば、再登者にとってはA1になるはずだともコメントしている。またトム・アイルソンは、7bに達すると推定されるフリー化にトライするつもりだとも当時語っていた。
ヘイドゥン・ジェイミソンは2017年にはすでにフリー化をプロジェクトとして考え始めたが、最初にトライしたのは、2020年、ベルギー人クライマーのシーベ・ファンヘーエだった。ヘイドゥン自身は2022年初めにブロンウィン・ホッジンズ(カナダ)とダンフォード・ヨースト(南ア)を伴って最初のトライを実行したが、2ヵ月間粘ったもののフリー化達成には至らなかった。
大自然の真っ只中での1ヵ月
2024年のトライに向けて、ヘイドゥン・ジェイミソンは、メンバーをクライミング担当(ジェイコブ・クックとウィル・シャープ)と映像撮影(ジョン・カサイアンとイアン・ジレンスキー)担当とに分けたひとつの強力なチームを作り上げた。そして先ずは、コチャモー渓谷の野性味あふれる自然環境の中で丸1ヵ月の労力、そして努力が準備のために必要だった。そこには車が走れるような道はなく、アプローチは自分の足で、または動物の助けを借りてこなさなければならなかったのだ。
また彼らは物資の補給問題を解決する一方で、セロ・カピクーアのその完璧な花崗岩でできたレリーフが織りなす微細な表情を解明していった。最も厄介な作業は、2022年にヘイドゥン・ジェイミソンとブロンウィン・ホッジンズ、そしてダンフォード・ヨーストがフリーで登ることができなかった唯一のピッチ、25ピッチ中の僅か1ピッチのムーブを解決することであった。
そして満を持して、ヘイドゥン・ジェイミソン、ジェイコブ・クック、そしてウィル・シャープの3人は最終的なトライに乗り出し、7日間連続で壁の中で過ごし、フリー化成功を手にして遂にセロ・カピクーアの頂に立つことができた。