中嶋 徹、恵那・笠置山でRegretを初登

文=中嶋 徹

恵那笠置山大岩ごけエリアの、エモーション 五段/V14の右のラインを登ることができた。高い位置のカチ2つからスタートして、リップまで僕のムーブでわずか3手。内容もかなりシンプルでボルダーらしい課題だ。2022年12月にトライを開始。3日目にはムーブを解決するも、どうしてもつなげる事ができず、8日目に大幅にムーブを変更。そこから微調整を続け、トライ21日目の最初のトライで登り切ることができた。

この課題の難しさは、なんと言ってもそのホールドの悪さにある。僕の場合は氷点下でないとロクにムーブをこなすことができず、真冬の夜に集中的にトライを行った。酷いときには氷点下6度まで気温が下がり、雪下ろしをしながらのトライとなった。一方、過酷なトライ環境とは裏腹に、一進一退のトライは非常に刺激的で、21日間とても楽しく素晴らしい時間を過ごすことができた。

また、時間がかかっただけに登れたときは本当に嬉しかった。リップを止めたときの浮遊感は一生忘れられないと思う。

グレードについては、「なんとも言えない」というのが正直なところだ。完登までに要した時間を考えると六段あってもおかしくないと思っている。また同系統のLucid Dreaming V15よりも難しく感じたのも確かだ。ただし、保持力やフリクションに偏った内容なので、感じ方に個人差があるように思う。3手の課題に六段というグレードを与えることに、強い抵抗を感じているのも確かだ。これもよくあることだが「登れてしまうと簡単に感じる」というのも迷わせる要因だ。

責任逃れのようで大変申し訳無いが、僕はこの課題にグレードを与える事ができない。今はいくら考えても結論は出せないので、ある程度再登が出た段階で意見を集約して決めたい。

 

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