テオ・ブラス、TTTを登り、最年少9aクライマーとなる!


Photo_Thibaut Pawlas

fanatic-climbing.com  訳=羽鎌田学

フランスはモンペリエ生まれの外岩ユース・クライマー、テオ・ブラスが再び注目を浴びるパフォーマンスを成し遂げた。

今冬地元の岩場クラレで初めて8c+(5.14c)を登った彼は、今度はニースの裏山に深く刻まれた渓谷沿いの岩場、レ・ゴルジュ・デュ・ルーのセクター・デヴェルセでクラシックな一本、9a(5.14d)のTrip Tik Tonik(通称TTT)をRPし、9台に突入した。テオは12歳9ヵ月で、9台のルートを登った最年少クライマーとなったのだ。13歳の誕生日数日前にイタリア、トリノの岩場グラヴェーレで9aのTCTを登ったイタリアのジャンルーカ・ヴィゲッティより年齢的に少し早く、9の領域に到達したことになる。

以下は、テオの父親であるヴラディーミルに詳細を尋ねてみた際のやり取りである。

―テオはなぜ家から遠い場所にあるこのルートをターゲットとして選んだのでしょうか?

昨年2021年の夏にレ・ゴルジュ・デュ・ルーを訪れた時、テオは岩場で最も美しいルートの一本と言われるTTTのラインが大いに気に入ってしまったのです。そこで彼はルートの最初のパートを核心まで試しに登ってみたのですが、最初のトライで、核心のムーブを含めほとんどすべてのムーブをこなすことができたのです。

ただ、3本目のクイックドローあたりにロングリーチが必要なムーブがあって、彼の身長では5、6cmほど足りませんでした。その時は時間がなく、トライしたのは一度だけでした。そして今年の夏の終わりの一週末にレ・ゴルジュ・デュ・ルーを再訪し、そのロングリーチのムーブをこなすことができるほど背が伸びたかどうかを確かめてみたのです。すると、問題なくできました。そこで、急遽予定を変更して、彼にチャンスを与えるために滞在を2週間に延長したのです。

―テオにとって、9aが目標となったわけですね?

そうですね。でも、何が何でもというわけではありませんでした。彼はアダム・オンドラ(13歳で初めて9aを完登)より先に9aを登りたいと夢見ていましたが、同時に自分を刺激するような美しいラインを登ることも大いに望んでいたのです。彼はレ・ゴルジュ・デュ・ルーの岩場で9aを何本かトライし、また地元モンペリエ近くの岩場、レ・トラックのセクター・エーグルでも一本トライ中でかなりいいところまでいっているのですが、どれももうひとつモチベーションが湧くものではありませんでした。ですから、これだ!というラインに出会うまで、もう少し下のグレードのルートを登り込んでいたのです。

―RPまでのプロセスは?

初めの頃は、個々のムーブはできるのですが、それらをつなげることがフィジカル的に大変でした。テオは、ありえないようなヒールフックやニーバー、細かなフットホールドなどをたくさん見つけなくてはなりませんでした。トライ5日目には、難しいパートのすべてのムーブを繋げて登ることができたのですが、上部のより簡単なパートで、まだムーブを充分に固めていなかったので、落ちてしまいました。その時の2週間のツアー中、彼は他に3回完登寸前までいったのですが、それぞれルートの上部(通常は誰も落ちないところ)でフォールしてしまいました。

ツアー最終日、最後のトライでは、彼は終了点の2m下、6cぐらいのパートで落ちたのですが、実は終了点のチェーンから数メートルのところにスズメバチの巣があったので、そこで時間をかけてムーブを確認するのを恐れ、そのパートはほとんど手をつけていなかったのです。彼はげんなりしていましたよ。そりゃ、頭にきたでしょう。ですから、今日また短期間のミニ・ツアーを組んで、夏休みの宿題を終わらせなければならなかったのです。

―このルートは非常にボルダリーなのですが、彼はどうやって核心をこなしたのですか?

彼は自分の身長に合った方法を見つけることができたのです。右足のヒールをかなり高いところに掛けてから、ニーバーをあまり当てにならないところに効かせると、核心の小さなコルネをキャッチすることができたのです。

―彼ぐらいの身長があれば、それほどロングリーチなムーブではないということですか?ところで今の彼の身長は?

146cmで、すべてのロングリーチムーブに解決策を見つけることはできました。3本目のクイックドローのところが、一番遠かったです。

―RPの際の登りはどうでしたか?

あとは時間の問題だとわかっていたので、彼はむしろ落ち着いていました。6b+と6cでウォームアップをした後、終了点直下のパート(前回ツアー最終日にフォールしたところ)でムーブを確認するためにTTTを登り、一日の2回目のトライで完登できました。流れるような素早い動きで、余裕のある登りができていました。終了点のチェーンにクリップした時、彼は喜んで大声を上げていましたよ。友人がRPの様子をスマートフォンで撮影してくれたので、近々ちょっとした動画をアップしようと思います。

今回のツアーでは、テオの妹で9歳になるアリゼも、彼女にとって初めての8aであるDéverséをRPしたようだ。がんばれ、兄妹!

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