ウィリアム・ボシ、King Capella初登 6人目の9b+(5.15c)完登者に

 Peter Burnside
thebmc.co.uk
  訳=羽鎌田学

英国エディンバラ出身の22才のウィリアム・ボシが、スペイン、シウラナの岩場でKing Capellaという公開プロジェクトルートを初登し、9b+というグレードを与えた。このグレードが確定した暁には、彼はイギリス人クライマーとしては1人目、世界的には6人目の9b+(以上)を登ったクライマーとなる。(*1) 

彼は、2021年のコンペシーズンに向けたトレーニングの一環として、2020年12月からスペインで登り込んでいた。またそれは同時に2024年開催予定のパリ・オリンピックを睨んだ長期的なトレーニングの一環でもあった。

「今回のクライミングツアーには目的が2つありました。先ずは、英国で深刻だったコロナ禍から身を遠ざけることで、次には、オフシーズンを利用してハードなトレーニングをすることでした。おかげで、今年度のコンペシーズン開始を控え、調子はまずまずです。昨年の11月下旬にモスクワで開催されたヨーロッパ選手権大会の結果には、幾つかの面では満足できていたのですが、まだまだ足りないところも多々あったのです。そんなこともあって、英国を離れてスペインへクライミングに行くことの目的には、自分自身をリセットして、今後を睨んだ計画を立てることにもあったのです。とは言っても、ツアー前に、結果を残すための特別なトレーニングはしませんでした。ただ、タイミング的にヨーロッパ選手権が終わったばかりの頃だったので、それなりにいい調子のままでツアーに出かけることはできました」

King Capella を登るウィリアム・ボシ photo_Band of Birds

 
 
 
 
 
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ウィリアムは、1年ほど前の2020年2月初旬にKing Capellaと同じセクターにあるLa Capella(9b/5.15b)のレッドポイントに成功し、国外の岩場で9bを初めて登ったイギリス人となっている。また今回のツアーでは、同セクターでLa Furia de Jabalí(9b/5.15b)とLast Night(9a/5.14d)という2本のルートの初登もゲットしている。しかし、かつてダヴィ・ブラスコによってボルトが設置されたKing Capellaの難しさは、それらのルートのワンステップ上を行くものであった、とウィリアムは言う。

「King Capellaは、同じセクターにある他のルートと似たようなタイプのルートで、ボルダームーブがこれでもかこれでもかといった感じで連続してでてきます。私にとって、King Capellaの難しさはレベルが違うものでした。例えば、9bのLa Capellaをレッドポイントするのに3日かかったのですが、King Capellaでは、3日でやっと最初の部分のムーブのシークエンスを組み立てることができただけでした」(*2)

同セクターにあるルート特有の息つく暇もないフィンガリーかつパワフルなクライミングであったのはもちろんのこと、中間部を突破するためには、瞬発力を使ったダイナミックなムーブが必要だった。そしてレストすることさえもままならないままに、次のハードなセクションに突入していかなければならなかった。

「一向に和らぐことのないパワフルなムーブ、そしていたるところで現れる大きなムーブを次々にこなしていく自分を、その日1日だけクリス・シャーマにでもなったかのように感じました。最高のクライミングでしたよ」

(*1)ウィリアム・ボシに先立つ5人は、アダム・オンドラ、クリス・シャーマ、アレックス・メゴス、ステファノ・ギゾルフィ、ヤコブ・シューベルト
(*2)King Capellaのレッドポイントにはトータルで10日間かかっている。

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