リードで森秋彩=金、安楽宙斗=銀
世界選手権2023ベルン

文=北山 真 写真=IFSC

男子ボルダー

世界選手権は8月1日の男子ボルダー予選から開幕した。日本人は安楽宙斗、緒方良行がそれぞれのグループ1位、藤井快3位、楢﨑智亜6位、楢﨑明智7位という、これ以上はないといえるほどのスタートであった。

準決勝、決勝は4日に行われた。準決勝でも安楽の好調は続き第2課題をただ一人完登、1位での通過となった。ディフェンディングチャンピオンの意地で藤井が3位、ミカエル・マウェム、メジディ・シャルクのフランス勢が2位、4位となった。緒方、楢﨑兄弟はここまで。

決勝はコーディネーションの第3課題が運命を分けた。フランス勢の二人がこれを完登。安楽はゾーンも取れず優勝争いから離脱した。

第4課題にはまったくフリクションのないスケルトンホールドが登場。落ちる前に手を出すという究極のキャンパシングが要求される。迫真の登りでミカエルがゾーンを保持。ここで優勝が決まった。その瞬間33歳の大ベテランがステージ上で泣いた。長いキャリアながら公式の国際大会での優勝はなかった。それがこの大舞台で成し遂げられたのだった。

女子ボルダー

女子ボルダー予選は3日に行われた。野中生萌が24位でまさかの予選落ち、中川瑠、久米乃ノ華、松藤藍夢も準決勝に進むことはできなかった。通過したのは11位の森秋彩だけだった。

準決勝、決勝は5日となった。森は3完登と健闘し5位で決勝に進んだ。ヤーニャ・ガンブレットが全課題1撃で強さを見せた。ブルック・ラブトゥも全完登で2位につけた。

決勝は森の不得意なランジ系、コーディネーション系が多く6位となった。ヤーニャがここでも圧巻の実力を発揮、全課題1撃、しかもすべてを1手の狂いもなく正解ムーブでの完登だった。オリアーヌ・ベルトーヌが3完登と大健闘し2位となった。

女子リード

女子リード予選は2日に行われた。森秋彩、ヤーニャ・ガンブレットがそれぞれグループ1位。久米乃ノ華、野中生萌も予選通過した。

6日の女子準決勝では森が終了点直下にせまり暫定1位。そしてヤーニャが最上部でまさかのクリップミス、クライムダウンしてクリップを試みるが途中でギブアップした。これが最後まで響くことになる。野中も8位で決勝に進んだ。

同日の女子決勝。森か?ヤーニャか? 試合はその期待通りの展開となった。ヤーニャは残り3秒で完登。そしてこの様子を感じていた森は、早めのスピードで下部、中間部をこなす。そして30秒を残し見事完登。日本人初の世界選手権リードでの優勝を達成した。 

男子リード

男子リード予選は3日に行われ、安楽宙斗(16)、ヤコブ・シューベルト(32)がそれぞれ1位。百合草碧皇、緒方良行、楢崎智亜が準決勝に進んだ。

男子準決勝は女子と並行して6日に行われた。安楽はここで痛恨のクリップミス。7位に順位を落としてしまう。百合草が5位で通過。1位はイギリスの若手トビー・ロバーツ。2位~4位にははアダム・オンドラ、ヤコブ・シューベルト、アレックス・メゴスというレジェンドが名を連ねた。

男子決勝では4番手というオーダーが幸いしたか、安楽が最上部に達する。しかし百戦錬磨のヤコブがこれの1手先を行く。強豪があと2名。安楽の表彰台は無理かというムードが漂う。しかし、アダムそしてトビーまでが中間部でミス。安楽の初出場2位が決定した。

※今後の世界選手権は、7日はパラクライミングのクラス分け、8日はパラクライミング予選、そして9日~12日で、いよいよパリ五輪への切符をかけてボルダー&リード競技が開催される。

女子リード

1 森 秋彩 JPN TOP
2 ヤーニャ・ガンブレット SLO TOP
3 ソ・チェヒョン KOR 47+
4 ミア・クランプル SLO 42
5 ブルック・ラブトゥ USA 39+
6 ジェシカ・ピルツ AUT 39
7 ラウラ・ロゴラ ITA 36+
8 野中生萌 JPN 32
9 モリー・トンプソン・スミス GBR 26+

男子リード

1 ヤコブ・シューベルト AUT 48+
2 安楽宙斗  JPN 48
3 アレックス・メゴス GER 40
4 イ・ドヒョン  KOR 39
5 百合草碧皇  JPN 38+
6 ポール・ジョンフ  FRA 33+
7 ショーン・ベイリー USA 30+
8 アダム・オンドラ  CZE 27+
9 トビー・ロバーツ  GBR 20
10 ソン・ユンチャン KOR 17

 

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