日本人のためのクライミングシューズ:満を持して登場したジャパンブランド。すべてオリジナルにこだわった日本人による日本人のためのクライミングシューズに注目! 日本人のためのクライミングシューズ:満を持して登場したジャパンブランド。すべてオリジナルにこだわった日本人による日本人のためのクライミングシューズに注目!

待望のジャパンブランド発進!

 ここ数年で爆発的に種類が増えたクライミングシューズ。さまざまなモデルがラインナップされているが、そのほとんどは、北米、ヨーロッパのブランドのものだ。日本は今や世界有数のクライミング強国だが、クライミングの道具のほとんどは、海外製品の力を借りなければ成り立たない。そんな中、ついに日本ブランドのクライミングシューズが誕生した。かつて国内でもいくつかのクライミングシューズが生産されたが、本格的にブランドとして立ち上げられたのはおそらく初めてだろう。

 開発を手がけた株式会社ブルームオブビューティーは、長年にわたりレディースシューズの企画生産に携わってきたメンバーが設立した会社だ。代表の都筑 理(つづく・おさむ)さん自身は、クライミングとは無縁だったという。周囲のクライマーから、「靴の専門家」としてクライミングシューズに関する悩みや希望を聞くうち、これまでの知識と経験を生かして、もっと日本人が快適に履ける、日本人のためのクライミングシューズを作れるのではないかと思い立ったのだという。

 とはいえ、一般の靴とは素材も作りも全く違うクライミングシューズをゼロから開発するには、多くのクライマーの力が必要だったのは言うまでもない。試作したサンプルを何度も試してもらい、幾度とない修正を経てようやく完成したのが、ブランドの中核となるモデル「TSURUGI」だ。

プロトサンプルの数々
細部にこだわり、完成にたどりつくまでに作った試作品は10点以上
試登中
クライマーたちの生の声がダイレクトに商品に反映される

日本人の足のために作られた
「TSURUGI」

まずはディテールをチェック!

 一本締めのベルクロタイプ。履き口のゴムは広めにとられていて、脱ぎ履きがしやすい。素材は軽量で厚手のシンセティックレザーが使用されている。

 このシューズの一番の特徴とも言えるのが、「JAPAN」と名づけられた日本人向けのラストだ。自然なカーブを描くターンイン、底面はダウントウしているが、どちらも極端なクセのある感じではない。幅は特に足指の付け根周囲がかなり広く、トウ部分の高さもあって厚みのあるシルエット。スリングショットは強すぎず、直角に近い素直なかかとの形で、くるぶし周りの高さはやや高めに見える。

 トウのアウトサイド側は緩やかなカーブ。角や出っ張りがなく、アウトサイドステップを効果的に使えそうだ。


 一方後ろからのシルエットでは、一見してわかるほどヒールカップがコンパクトに作られている。欧米人に比べて、甲が高く幅も広いがかかとは小さいという、日本人特有の足型に合わせたラストは新鮮。欧米人向けに造られたモデルとは、明らかに異なるバランスだ。

気になるソールは、オリジナルラバー「摩擦」。クライミングシューズ用のラバー開発に実績のある専門メーカーとタッグを組んで作り上げたものだ。かなりソフトな印象で、フリクションも申し分ない。粘りがある感じではないが、ホールドに面で効かせるような足使いに効果的なのではないだろうか。
 またアッパーラバーもかなり広範囲に配されている。足裏感覚ならぬ、足の甲感覚を使った繊細なトウフックができそうだ。
気になるソールは、オリジナルラバー「摩擦」。クライミングシューズ用のラバー開発に実績のある専門メーカーとタッグを組んで作り上げたものだ。かなりソフトな印象で、フリクションも申し分ない。粘りがある感じではないが、ホールドに面で効かせるような足使いに効果的なのではないだろうか。
 またアッパーラバーもかなり広範囲に配されている。足裏感覚ならぬ、足の甲感覚を使った繊細なトウフックができそうだ。

ラバー自体が柔らかい上に、ノーシャンクのかなりソフトなつくり。ストレスレスな足入れなのは間違いない。

ジムトレにピッタリ

 ブランド立ち上げに際して発売する浅草クライミングの3モデルのなかで、この「TSURUGI」は上位モデルの位置づけにある。ダウントウ、ターンインの形状は、前傾壁でフットホールドをかき込んだり、フックを多用したりといったテクニカルなクライミングにも対応している。しかし、全体がソフトな仕上がりなので、フットホールドを面でとらえるような足使いにも使うことができ、ジムの課題をオールラウンドにカバーするだろう。初めて挑戦するダウントウモデルとしてもいい。また、足入れがよくクセがないので、レンタルシューズを卒業するビギナーも、上位モデルだからと臆さずに充分トライできる。

 そして、これまでのシューズが合わずにさまよっていた幅広足のクライマー達にこそ、ぜひこのシューズを試してほしい。幅に合わせるとオーバーサイズの物を選ばなければならず、いつもフィット感に満足できなかった人や、かかとに合わせてローボリュームモデルを選ぶと、くるぶし周りやつま先のボリュームが足りずに痛い思いをしていた人も、初めてのシンデレラフィットを体感できるかもしれない。

 小さなジブスに立ちこんだり、外岩のエッジングに期待したりというタイプのシューズではないが、ジム用バッグにいつも入れておくのには最適な1足だ。こういうシューズで練習すると、きっといろいろなテクニックがバランスよく身につくだろう。

 そして、他にはないカラーリングとデザインも、もちろんお見逃しなく。

浅草クライミング
「TSURUGI」

日本人の足型にあわせて開発したラストを使用。
ソフトでクセのない履き心地で、前傾壁のかき込みからスメアリング、
トウフックまで幅広くこなす。

価格:1万8360円
カラー:2色
サイズ:20〜29.5cm cm

Brand History

[浅草クライミング]
アパレルシューズの企画開発や製作に携わった都筑理氏が、シューズのコンサルティングなどを行なう会社「bloom of beauty」を設立。事業のひとつとして、新たにクライミングシューズの開発・製作を開始し、生まれたブランド。「浅草クライミング」というブランドネームには、靴の地場産業が盛んな「靴の街」として知られ、同時に日本の観光名所でもある浅草のように、日本を代表するシューズブランドになってほしいとの思いが込められている。

ホームページ:http://asakusa-climbing.com/
facebookアカウント:https://www.facebook.com/asakusaclimbing/