ズバリ解決!マル秘トレーニング Vol.1

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文=中根穂高 イラスト=江崎善晴
*この記事は『CLIMBINGjoy No.7 2011年10月号』掲載記事をもとにしています。

 

はじめに

いきなり出鼻をくじくようなことを書きますが、まずはジムに行って、ガムシャラに登ってください。そうですね、できれば10回くらい。少なくとも6、7回はジムに行ってみて、特に何も意識せず、楽しんで登ってください。初めから5級のコースや5.10aのルートが登れた人なら話は別ですが、ある程度、登ったあとでないと、トレーニングそのものの効果は望みようがありません。

草野球ですらロクにやったことのない人が、バットのスイングスピードを上げるためのウエイトトレーニングを体育館でやってもしょうがないのと一緒です。クライミングジムに2、3回しか行ったことのない人の多くが、家で指の力や握力をつけたいと思うのは仕方ないことですが、ジムにちょっと行ってみたら、あまりに握力や指の力がなくて登れず、すぐに疲れきってしまい恥ずかしいくらいだった。家でこっそりトレーニングして指の力を強くして、次に行ったときにはバンバン登れるようになりたい——そんな夢のようなトレーニング方法もグッズもありません。現実は厳しいのです。ですが、ここでくじけてしまってはダメ。10回くらいジムに行くと自分の弱点が見えてきますし、トレーニングに対するモチベーションも大きくなっているはずですね。

それでは、いよいよトレーニングの実践について書きましょう。トレーニングというものは、まず、ある程度疲れるまでやらないと意味がありません。家の場合、翌日まで少し疲れが残るほどトレーニングをするのは難しいことですが、ここはがんばってもらわないと困ります。

次にジムで、単にクライミングを楽しんでいるだけではトレーニング効果は薄いということを知りましょう。仮にあなたが、5級のルートが上限だとすると、ジムに行けば大抵、少々簡単なルートでウォームアップしたあとに、5級のまだ登れていないルートや、できそうな4級のコースに挑戦するでしょう。そして運よく登れたとしたら、次の4級か5級をチャレンジするはず。そうして、こういったルートは、休み休みトライしないと登れません。なぜなら、限界グレードだから。ムーブがつながったり、次のトライで登れそうになると、少し長く休んだりするものです。そうして力がなくなって、もう登れなくなると、ちょこっとクールダウンなどして帰るだけ。これでは、トレーニングには程遠いと言わざるを得ません。ジムに行ったなら、ウォームアップ後の最初の1時間を、ぜひトレーニングに充ててみてください。

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保持力がなく、フィンガーホールドを持っていられない

■ジムに行けない人

人間って、指先を器用に使えるかどうかでホールディングの正確さが相当違い、保持力そのものも異なります。ギタリストやピアニストが(指を痛めてしまうからあまりやりたがらないが)クライミングを始めると、なぜか最初からけっこう登れたりするのは、指が別個に正確に動くからだったりします。もちろん、ピアノやギターを弾く練習をしてもいいのですが、あまりに時間がかかりますね。そこで、指をうまく動かすトレーニングこそが保持力アップの秘訣です。 まずそのひとつは、前腕ぐわしマッサージ。これは親指と人さし指、薬指を使って前腕を強くつかみ、すぐに中指と小指で強くにぎります。左右それぞれ30回ずつ、前腕の筋肉をもんでみましょう。

(左)人さし指と薬指を曲げ、親指とで挟み強くにぎる
(右)中指と小指を曲げてにぎる
※交互に20回ずつ、左右とも行なう



次に行なうのは、輪ゴム指広げトレーニング。これは、人さし指と中指、中指と薬指といった具合に隣り合う指同士の第一関節(先端に近いほうの関節)に輪ゴムを二重にして掛け、この指を広げるというものです。がんばって、どの指同士も30回以上広げたり閉じたりしましょう。

(左)輪ゴムを第一関節に掛けて広げる。すべての指の間でやる。強度は本数や二重にするなどして調整
(右)[サブメニュー]親指とほか2本の指に輪ゴムを掛け、開いたり閉じたりを繰り返す



■ジムに行ける人

初・中級者は、疲れてくるとガバばかりのルートしか登れなくなってしまいます。ガバとは、指を曲げて内側に握り込むことのできるホールドです。こういったルートをたくさん登ってワークアウトのトレーニングをしても、指の保持力は強化されません。そこで行なうのが、10秒ぶら下がりトレーニングです。
ジムの100〜120度くらいの壁で、左右別々のホールドを持ち、足を離して10秒ぶら下がることのできるホールドを探しましょう。左右の高さが違ってもかまいません。できれば、最初は5、6秒しかぶら下がれないホールドのほうがいいです。10秒ぶら下がれるようになったら、次にヒジを90度に曲げて10秒ぶら下がってください。それもできるようになったなら、さらに難しいホールドにチャレンジしてみましょう。とにかく、いろいろな形状のホールドにぶら下がれるようになるのが、保持力アップのカギです。

とにかくいろいろなホールドにぶら下がってみる。10秒以上ぶら下がれるものはよくない。5、6秒が限界なものを探す。左右の高さが違ってもかまわない。
ひじを軽く曲げた状態と深く曲げた状態など、角度を変えてぶら下がってみよう。



指先を上手に使うための次なる練習は、持ち替えトラバーストレーニング。これは幅5、6mの壁の中に、スタート/ゴール以外に3、4個のホールドを任意に選び、それらを左右の手をマッチして持ち替えることによってトラバースするコースを自分で設定し、左右のトラバースをするのです。同じホールドの持ち替えは、指を上手に動かすトレーニングによく効きます。



足は自由で、すべてのホールドを持ち替え(マッチ)しながらトラバースする。なるべく持ち替えにくいホールドを使う。左右逆に2、3度往復する。

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