リードワールドカップ第3戦オーストリア・イムスト

20150805_news_wc17月31日、8月1日の2日間にわたり、オーストリア・イムストにてリードワールドカップ第3戦が行われた。日本チームからは、前回大会で2位・銀メダルの中野稔、高田知尭、初参加となる豊田将史の男子3名。女子は最近成績が安定している大田理裟、そして小林由佳。ユースの中村祐香梨、坂井絢音の4名が参加した。
 
イムスト大会は、壁が巨大すぎるため予選は壁の3分の2程の高さの所に終了点が設置され、どのルートも傾斜のない部分で行われた。
 
女子は順当に結果の出るルートであったが、男子の2ルート目は、中間部の巨大なスローパーが極端な核心となるルート。中野をはじめ、ラモン・ジュリアン(Ramón JULIAN PUIGBLANQUE)などの強豪選手も、その部分を突破できなかった。1ルート目の結果から日本人は高田、中野の2名、女子は安定した強さを見せた大田と小林が予選を突破した。
 
同日に準決勝も行われた。ラインはストレートであるが、壁の上部まで突き抜けるルート。女子は後半部分のハリボテ部分がやや団子となったが、小林が1手抜けて8位で決勝に進んだ。男子は中野が後半のルーフから抜けてくる部分を逆手で入ってしまい、11位。次のホールドが決勝進出のポイントとなっていただけに、非常に悔やまれる。しかし、海外からの注目度も非常に高く、確実にレベルがアップしているのは間違いない。

女子では、まだ10代でスロベニアのヤーニャ・ガーンブレット(Janja GARNBRET)が強靭な登りを見せた。また男子は、ルート後半部、予選でも苦労させられた同じモルフォのスローパーで団子となったが、地元ヤコブ・シューベルト(Jakob SCHUBERT)はじめ、ヨーロッパ勢が決勝に進んだ。

決勝は8月1日夜の開催であったが、開始とほぼ同時のタイミングで大雨となった。女子1番手で登場した小林は、下部の悪そうな部分をなんとかこなして、ルーフの抜けぐち付近でフォール。何名かの選手が出だしの悪い部分で落ちた為、小林は5位。女子はスロベニアのミナ・マルコビッチ(Mina MARKOVIC)とヤーニャ・ガーンブレットが終了点直下まで迫ったが、最後はミナが数手上回って優勝した。

男子は、一番傾斜の強い部分を一直線に登っていく。それでも手数は70手近い。ルーフの出口までにアダム・オンドラ(Adam ONDRA)や前回優勝のゴーティエ・シュペール(Gautier SUPPER)もフォール。最終面を超えたのは地元のヤコブ・シューベルトと超ベテランのフランスのロマン・デグランジュ(Romain DESGRANGES)。今回はロマンの登りが際立っていて、他を圧倒して優勝した。

決勝が雨だったこともあるが、観客など他の大会に比べかなり少なく、また、壁が巨大すぎるのか、大きな動きをしていても、選手が壁の中でかなり小さく見えてしまい、見た目のダイナミックさなどは薄れてしまい、盛り上がりは少なかった様に思われる。全体を通しては地元オーストリアのレベルは高いが、それ以上にスロベニア、フランスが復活している印象だった。(文・写真=木村伸介)

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リードワールドカップ2015 ブリアンソン

◆男子(参加62名)
1   ロマン・デグランジュ(FRA)
2   ヤコブ・シューベルト(AUT)
3   ドメン・スコフィック(SLO)
—-
11 中野稔
20 高田知尭
46 豊田将史

◆女子(参加47名)
1   ミナ・マルコビッチ(SLO)
2   ヤーニャ・ガーンブレット(SLO)
3   ジェシカ・ピルツ(AUT)
—-
5 小林由佳
13 大田理紗
43 坂井絢音
46 中村祐香梨

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