佐藤裕介・増本亮がベアトリス (5800m)東壁 The Excellent Adventure をフリー化 600m 5.13a

文=佐藤裕介

パキスタン・チャラクサ氷河にあるベアトリス/BEATRICE(5800m)東壁には、現在3つのルートが引かれており、The Excellent Adventure(750m, ED+ A3+:初登時のグレード)は、1997年イギリス3人パーティーによって初登された。ベアトリス東壁中央を走るクラックを辿るラインである。


稜線のリッジを行く佐藤

今回は、ほぼ同ルートのフリー化となった。600m以上に渡ってクラックが続く素晴らしいルートで、ルート上にあるボルトは終了点のアンカーのみである。

ルートは主に3つのパートに分けられ、逆層ハング越えから雪田までの下部120m。特に傾斜の強い5~11P中間部はフリー化の際も核心となり、5.12台5ピッチ、核心ピッチには5.13aを付けた。上部6Pは傾斜が緩まり概ね快適なハンドクラックが稜線まで続いている。更にリッジ上のクライミング2Pと雪稜を経てピークに達する。ここまで、充実したピッチが連続するヒマラヤビッグウォールは非常に珍しいだろう。

取り付きまでの荷揚げをして2日間のレスト後、BCを出発、登攀は8月1日~9日の9日間。壁中6泊。4本のロープを持参しカプセルスタイルでの登攀となった。

なお同行の横山勝丘、長門敬明ペアはK7西峰で、長大なリッジをたどるSUN PATCH SPUR Ⅵ 2300m+ を初登している。


ベアトリス東壁600m全景

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