実践!クライミング語 ~外岩にて Chap.1~

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マルオ じゃあ、おれがビレイ①するから、スネ太、登っていいよ。
スネ太 おれ、ロープ②結ぶの1年ぶりだからリード③は……トップロープ④掛けてきてよ。
マルオ なに言ってるの~。二段⑤が登れるんだから5.10d⑥くらい楽勝でしょ。
それに、ミジカシイ⑦系だからハイボール⑧みたいなもんじゃない。
スネ太 こんなにランディング⑨が悪いボルダーないよ。だいたい、2本目のヌンチャク⑩遠くない? クリップ⑪する前に落ちたら、絶対にグラウンド⑫だよ!

マット⑬
持ってくればよかった……。
マルオ 手繰り落ち⑭しなきゃ平気。
スネ太 やっぱイヤだ。プレクリ⑮するから、そこのチョンボ棒⑯取って。
マルオ えっ!? 何本掛けるの?
スネ太 2本目まで……。
マルオ そりゃないんじゃない? このルート、ボルト3本だよ!?
スネ太 安全第一!
マルオ ……。
写真イラストレーション=橋尾歌子
構成・文=ロクスノ太郎
*この記事は『CLIMBINGjoy No.3』掲載記事をもとにしています

用語解説

 ① ビレイ 
ざっくりいえば、ロープによって人間を確保すること。ごくまれに「ジッヘル」と呼ぶ人がいるが、その人はクライミング歴ウン十年の大先輩だから丁重に扱うように。

 ② ロープ 
ひと昔前まではザイル(独)と呼ぶのが主流だった。ちなみにロープを使ったクライミングを「ロープクライミング」というのは間違い。これではロープを攀じ登ることに。

 ③ リード(クライミング)  
ボルトなどの中間支点に下から順にロープを掛けながら登ること。後述の「トップロープ」に比べると落下距離が長いため、初めはちょっと怖い。

 ④ トップロープ  
終了点にロープを掛けて二つ折りにした状態で登る方法。安全だと思いがちだが、ロープが掛かっているのは通常1カ所。あなたが掛けてもらったそのロープは大丈夫?

 ⑤ 二段 
日本ではボルダーのグレード(難度)を2級、1級、初段、二段……と表記することが多い。ちなみに二段はかなり難しいはずだが、近ごろはボルダリングを初めて間もない人が登ったりして、そこに到達するのに何年もかかった筆者は悲しい思いをする。

 ⑥ 5.10d 
日本のルートで採用されているグレード表記(デシマルグレード)。日本では5.6くらいから存在し、5.10からはa、b、c、dに4分割される。数字が大きいほど困難。

 ⑦ ミジカシイ
ルートが短めで、難しいムーブを強いられるタイプ。リードが苦手なボルダラーは、この手のルートで見返してやろう。

 ⑧ ハイボール 
落ちたら骨折しそうな、高さのあるボルダー。ジェイソン・キールというアメリカ人が、これの名手(?)として有名。

 ⑨ ランディング  
ボルダーの下地。これが悪いせいで、低いところで落ちたのにポキッといった人がいるので注意しよう。

 ⑩ ヌンチャク 
クイックドローのこと。アチョー!

 ⑪ クリップ 
クイックドローにロープを掛ける行為。これが難しいルートを「クリップ核心」と呼んだりする。

 ⑫ グラウンド(フォール) 
地面まで落ちること。高さによっては、もちろん、ただでは済まない。

 ⑬ (ボルダリング)マット 
ボルダリングのときに敷く着地用簡易マットのこと。有名ボルダリングエリアに行くと、これを背負った集団に出会うが、歩く姿は“ぬりかべ”そのもの。もう一度冷静になって自分の姿を見てみよう。

 ⑭ 手繰り落ち 
クリップなどをしようとして、ロープを手繰ったときにフォールすること。絶対にやってはならない。

 ⑮ プレクリップ 
後述のチョンボ棒を使って、地面から事前にクリップをすること。「本来はルール違反だけど危ないから……」なんて、安全という名目でクライミングのルールがルーズになるのは、どうなんでしょうね?

 ⑯ チョンボ棒 
”チョンボ”しても登りたければ使おう。ただし、それで登ったことになるかは別。

登場人物

*登場人物は架空です。

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