最新クライミング用語集(か行)
【か】
外傾ホールド 主に、エッジ状ホールドでありながら手前に傾いていて、指の掛かりが悪いものをいう。エッジのないものを「スローパー」と呼ぶ。
解除 終了点に達し、セルフビレイがとれたことを意味するコール。「ビレイ解除」の略。終了点が整備された 1 ピッチのルートであれば、ロワーダウンすることが多いので、このコールの必要はない。
ガストン gaston 縦ホールドを、親指を下にして持つこと。語源は、かの伝説的名ガイド、ガストン・レビュファ。一説には、レビュファがクラックを観音開きで登っていた写真があったことによるらしい。
カチ(俗) カッチリしたホールド。主に小さめのエッジホールドに使う。
ガチャ(俗)→ギア
カチ持ち(俗)→クリンプ
カチラー(俗) カチに強い、あるいはカチ持ちしかできないクライマーを呼ぶ。
ガバ(俗) ガバッとつかめるホールド。英語では「バケット(バケツ)」。
かぶっている(俗) 前傾している。反対語は「ねている」
カンテ Kante(独) 凸角。アウトサイドコーナー。
完登 登りきること。フリークライミングの世界では、テンションやフォールなしで登りきることを意味している。
観音開き(俗) クラックの場合は、ジャミングを知らないゆえの間違った技術であることが多いが、体の近くにあるふたつの縦ホール。
ガンバ(俗) 「がんばれ」の略。
【き】
ギア gear 用具。
キョン(俗) 片足のひざをインサイドに曲げて安定させる。前傾壁で有効。語源はマンガ『がきデカ』のギャグ『八丈島のきょん』。二子山に集まるクライマーによって87年ごろより使われ始めた。「池田(功)ステップ」と呼ばれた時代もあった。英語では「ドロップニー」。
キンク ロープのねじれ。エイト環を通るとできやすい
均等荷重(可動分散)複数の支点に等しく荷重がかかるようにする方法。支点が不安な場合に使用される。支点が強固な場合には、メイン+バックアップとすることが多くなった。
【く】
クイックドロー quick-draw →ヌンチャク
クライムダウン climb down ロープにぶら下がらずに、自分の力で(フリーで)下りること。ある程度登ってからクライムダウンして、あらためて登り直しても完登であることに問題はない(コンペでは地面まで下りることはできない)。
グラウンドアップ ground up ラペルによるボルト設置などのルート整備をすることなく、面から未知のルートに挑むこと。開拓、初登のスタイルについて使われる。グラウンドアップによるオンサイトのフリー初登は、フリークライミングにおける最高のパフォーマンスといえよう。「カリフォルニアスタイル」とも呼ばれる。
グラウンドフォール ground fall 地上への墜落。略して「グラウンドする」などと使う。よく「グランドフォール」と言い間違えてしまうが、これでは「偉大なる墜落」となってしまう。
クラッシュパッド crash pad ボルダリング用衝撃吸収パッド。昔「はボルダリングマット」と呼ばれていたが、出世して呼び名もカッコよくなった。これの出現によってボルダリングが安全になったことは事実だが、逆につまらなくなったと感じる人々もいる。
グルーイング gluing シカなどのグルー(接着剤)を使って、ホールドを作る、あるいはホールドを補強すること。
クラッグ crag 岩場。ビッグウォールでないものを指す。
グリグリ Gri Gri ビレイディバイスのひとつで用途は幅広い。トップロープのビレイには最高。リードのビレイには最初、慣れが必要だが、幅広く使われている。アッセンダーと組み合わせると、フィックスロープの上り下りがスムーズにできる。
クリーンクライミング clean climbing 岩を傷つけないクライミング。主にチョックのみでクラックを登ること。
クリップ clip 主に、ロープをカラビナに通すことをいう。「フィンガークリップ」と「バックハンドクリップ」がある。
クリンプ crimp ホールドの持ち方のひとつ。指の第二関節を曲げ、第一関節は曲げず、むしろ反らせるようにして、指先で支える。小さなエッジに有効。
グルーブ groove 一般に、コーナーより角度の広い凹角。水の浸食などによってできた浅い溝など。
グレード grade 岩場のルートにつけられた難易度。国によってさまざまな表現があり、ややこしい。日本はアメリカの方式を採用していて、かなり定着している。ヨーロッパ帰りのクライマーはフランス式をよく使う。
【け】
ケミカルアンカー chemical anchor ボルトの径より大きく開けた穴とボルトを、2 種混合型のグルーによって接着させる。手間はかかるが高い支持力が得られる。
ゲレンデ Gelande(独) 本来は単に「エリア」のことだが、日本では大きな壁に対して、身近な練習場を指す言葉として使われていた。フリークライミングにおいては、過去にゲレンデと呼ばれていた岩場自体が目的となっているので、この言葉はあまり使わない。
限定ルート フェイスルートの場合、ボルトがおおよそのラインを指定していて、これにクリップしながら登れば、あとはどういうラインで登ってもかまわない。しかし設定者が、使ってはいけない部分を設定することがあり、これを「限定ルート」と呼ぶ。柱状節理の岩などで「左右の凹角とカンテを使わないでフェイスのみで登る」などはわかりやすいが、「常にコーナーに正対して登る」「右奥のホールドは 1 回だけ使うこと」など常軌を逸したものもある。
懸垂下降 →ラペル
【こ】
鯉のぼり(俗) 壁に対して体を真横にするもので、上の手でホールド(かなりのガバ)を引き、下の手で壁を押すという、一種のオポジションである。これに関しては大阪の東秀磯の独壇場であり、力自慢のクライマーであっても通常は数秒しかできないものだが、彼の場合、5 分は楽にできるという。ただ、このムーブを必要とするルートは現在なく、また将来的にもないと思われる。よってクライミング用語とはいえないが、実践するクライマーはけっこう多い。
細かい(俗) ホールドが小さいこと。
ごぼう(俗) ロープをつかんで登ることをいう。もちろんフリークライミングではない。語源は、ごぼうを地面から引き抜く動作に似ているからのようだ。